さんち 〜工芸と探訪〜

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産地の工芸品

新潟

燕三条

ついきどうき 鎚起銅器

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概要

1枚の銅板を鎚 (つち) で打ち延ばしたり絞ったりして継ぎ目なく形を作る銅器のこと。江戸時代に銅山が活況となった燕一帯に起こった産業で、1981年に通商産業大臣似寄り伝統的工芸品として指定を受けている。

叩く場所やつくる形状によって鳥口を選び、20本余りを使い分けながら仕上げていきます。

歴史

燕市は、古くから日本でも有数の穀倉地帯として知られる越後平野の、ちょうど中心にある。平野を流れる信濃川は度々氾濫を起こし、隣接する三条エリアとともに農村を苦しめてきたが、そんな中で困窮する農民を救ったのが江戸初期 (1628年ごろ推定) に導入された和釘作りの副業である。江戸での震災や度重なる大火により釘の需要は著しく増え、徳川期から明治初期にかけては燕産業の80%が和釘の生産であったとされる。

和釘産業を追いかけるように、燕では一帯を支配していた村上藩の命により、1650年ごろより銅細工の製作が行われるようになる。以後燕では鍋などの銅器の生産が盛んになり、幕末の元治元年 (1864年) には「越後産物番付」にて燕銅器が25位に挙げられている。

その後和釘が明治維新の波とともに国内に入ってきた洋釘に需要を奪われ、産業として急速に衰退する一方で、燕で続いてきたこの銅細工と江戸の明和 (1764〜1772) 年間に開発されていた間瀬銅山(まぜどうざん) の存在が、燕における「鎚起銅器 (ついきどうき) 」誕生の契機となる。

燕市の西北に位置する霊山・弥彦山で開発された間瀬銅山からは良質な銅が採れ、その色は美しい緋色 (ひいろ) をしていた。 ここに仙台生まれの藤七という人物が燕にやってきて伝えたのが、1枚の銅板を鎚で叩いて継ぎ目なく作る「鎚起銅器」の技術である。複数いたとされる継承者のうち、1816年、学んだ技術を生かして家業を銅器製作から鎚起銅器製作へと移行したのが玉川覚兵衛。現代まで続く燕の鎚起銅器作りの礎を築いた玉川堂 (ぎょくせんどう) の初代である。鍋・釜・やかんなど日用品を製作し、弟子も5人以上抱えていたという。

時代が明治に入ると、廃刀令などの発令により多くの工芸職人が失職を余儀なくされる一方、工芸界は明治政府の政策により海外博覧会への出品など、欧州の最新の技術を学ぶ機会に恵まれる。これを契機に2代目・玉川覚次郎が継承した玉川堂の鎚起銅器製作も、日用品から美術工芸品へシフトしていくこととなる。日本が初めて公式参加した1873年 (明治6年) のウィーン万博へも出品。3代目玉川覚平の時代には銅器に彫りで模様をつける彫金の技術を取り入れ、1894年 (明治27年) に皇室献上の栄誉を受ける。

しかしその後の度重なる戦争により銅は資源として国に供出され、原料の価格高騰を受けた燕の銅器生産は壊滅的なダメージを受ける。玉川堂も度々廃業の危機に追い込まれるがものづくりを絶やすことなく終戦を迎え、1958年、その技術が「新潟県無形文化財」に指定される。これをきっかけに玉川堂の経営も回復し、玉川堂から独立した銅器屋を中心とした銅器組合も設立。鎚起銅器を燕の伝統産業として打ち出す機運が高まり、1981年には「鎚起銅器」が通商産業大臣による伝統的工芸品の指定を受けた。

高度成長期からバブル期にかけては燕の銅器が贈答品需要に恵まれる。玉川堂では当時、贈答品の売り上げが全体の8割を占めたという。バブル崩壊後は贈答需要は落ち込んだものの海外見本市への出展など海外進出を図り、2010年には玉川宣夫が重要無形文化財 (人間国宝) に認定。若手職人や海外からの受注も増えるなど、明るい兆しを見せる。

2013年からは燕市・三条市合同での工場見学イベント「燕三条 工場の祭典」がスタート。玉川堂では他のメーカーに先駆けて平成のはじめには既に工房の一般見学を受け入れており、技術面のみならず地域を代表するメーカーとして、ものづくりの町の旗振り役となっている。

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