さんち 〜工芸と探訪〜

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産地の工芸品

新潟

燕三条

ようしょっき 洋食器

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概要

100年の歴史を持つ新潟県燕市の主要産業。一般に洋食器というと食卓に並ぶ皿やカップ類を含む一式を意味するが、燕の洋食器の場合は主にナイフ、フォーク、スプーンなど金属製のカトラリーを指す。国内の金属洋食器生産シェア90%を占める。

歴史

新潟県のほぼ中央に位置する燕市の洋食器製造は、古くは400年ほど前の和釘鍛冶に端を発すると言われる。隣接する三条市も含む燕三条エリアは農産地としても肥沃で、古くから農具を自作してきた歴史がある。次第に金属製品作りが産業として発展する中で、燕・三条両地区は生産と販売機能をわけあって発達を遂げてきた。また、燕では和釘の他に、鋸の目立てに用いるヤスリ、キセル、携帯用の筆記用具である矢立 (やたて) が江戸期に生産されていた。

次第に三条地区が高度な自由鍛造技術を駆使した刃鍛冶で「金物の町」として発展を遂げていく一方、燕では江戸時代の明和 (1764〜1772) 年間に銅山の開発が始まったことが、のちに「洋食器の町・燕」として知られていくきっかけとなる。

明和年間に燕市の西北に位置する霊山・弥彦山で開発された間瀬銅山(まぜどうざん) からは、良質な銅が採れた。自然と会津や仙台から銅器製作を得意とする技術者が集まり、燕の職人に技術を伝えたという。そこから生まれたのが、1枚の銅板を鎚で叩いて継ぎ目なく作る燕の代表的工芸品、鎚起銅器 (ついきどうき) だ。この鎚起の技術が、明治末から燕で急速に発展していく洋食器生産の礎となる。

明治期に入ると外国から洋釘が輸入されるようになり、燕三条地区の和釘製造は急速に衰退する。職人の失業が相次ぐ中、1911年 (明治44年)、燕の「捧 (ささげ) 商店」が東京の貿易商から初めて金属洋食器の注文を受ける。これが「洋食器の町・燕」誕生の契機となった。当時は国内向け需要はほとんどなく、ほとんどが東南アジアやヨーロッパ向けの輸出貿易品である。1916~17年にかけてはロシア向けの輸出が活況となり、1915年に4万ダースだった生産量が、1918年には50万ダースまで伸びている。生産量の増大とともに、初期は手加工だった製造の機械化も進み、1921年には工場制手工業の段階に入る。動力による生産は、飛躍的な品質改善と生産量のアップにもつながった。燕・三条両地区の産業はこの頃から分岐していく。

戦時中には「敵性品」として製造を禁止された洋食器だが、わずかながら海軍からの受注があったことで製造のための道具や機械、技術を絶やすことなく終戦を迎えることができた。また、戦前は真鍮 (しんちゅう) が主な材料だったが、資源乏しい戦後はステンレス鋼 (鋼とは合金のこと) が材料の主体となっている。しかし、当時のステンレス鋼には錆や磨きの難しさという難点があり、この課題を解決するために研磨などの技術が高められていったことが、先々の洋食器産地・燕の地位を磐石なものにしていったとも言ってよい。

戦後は米軍による特需で燕の洋食器の輸出額が新潟県全体の1/4を占めるまでに成長する。昭和30年代はじめには生産量が1000万ダースを超え、その9割が輸出用だった。しかしその9割のうち7割が米国向けだったために、米業界から燕製品の輸入を制限するよう訴えが入り、事態は日米貿易摩擦へと発展していく。規制の廃止、復活と産業の盛衰が貿易問題に左右される中、1946年のドルショック、1973年に起きたオイルショック、その波を受けた円高は産業に大きな打撃を与え、産地の好況はついに終焉を迎えることとなる。

昭和をピークに産業は縮小を余儀なくされたが、今も日本を代表する金属洋食器の産地としての燕の地位は揺るぎない。近年では柳宗理デザインのカトラリーの生産や「iPod」の鏡面磨きなど、デザイン性の高い製品の開発にその技術が生かされ、注目を集めている。2013年からは三条市と合同で「燕三条 工場の祭典」を開催。長年ものづくりの歴史をともにしてきた両市が一体となっての一大工場見学イベントは、従来知られることのなかった高度な金属加工の世界を広く一般に知ってもらう好機となっている。

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