さんち 〜工芸と探訪〜

SUNCHI ~ Explore japan through regional crafts ~

このページの先頭へ

あなただけの
さんちの手帖に

会員登録を行うことでお気に入りの読み物に栞を挟むことが出来ます。記事に栞を挟んで自分だけの栞帖をつくってみませんか?
メールアドレス:(必須)
※ 「.@(@の前にドット)」、「..(ドット2つ)」を含むメールアドレスはご利用いただけません
メールアドレスは既に使われているか、正しい形式で入力してください
会員登録する
既にアカウントをお持ちの方は こちら

退会手続き

退会すると栞した読み物や産地の情報が完全に消去され復元することはできません。本当に退会しますか?
キャンセル
退会する

世界が愛する日本のコーヒーサイフォンと「医療機器」の意外な関係 美味しいコーヒーを追求する珈琲サイフォン株式会社の「コーノ式」サイフォン

投稿日: 2019年5月7日
産地: 東京
編集:
  • LINE

みなさん、コーヒーはお好きですか?

ミルで豆を挽いたり、ハンドドリップで淹れたり、こだわりをもってコーヒーを楽しんでいる方も多いのではないでしょうか。

ペーパードリップ、ネルドリップ、コーヒーマシーン‥‥様々なコーヒー抽出機がありますが、今日はこちら。

珈琲サイフォン

コーヒーサイフォンのお話です。

フラスコでお湯が沸騰するポコポコという音。お湯が上がっていったと思ったら落ちてくる様子。

まるで実験器具のようでもあり、見ているだけで楽しくなります。

珈琲サイフォン

今から90年以上前に、一人の青年が国産初のサイフォン抽出器を開発。それを「コーヒーサイフォン」と名付けました。

いったいどんな方が開発したのか。

「美味しいコーヒーを飲みたい」

1人の青年の熱い想いから生まれたコーヒー器具の物語です。

「もっと美味しくなるんじゃないか」

巣鴨駅から徒歩3分ほど。住宅街を歩いていると、コーヒーのいい香りがしてきます。

創業94年、珈琲サイフォン株式会社さん。

コーヒーサイフォン

コーヒー器具の製造・販売、豆の焙煎・販売を行なっています。

コーヒーサイフォン

「コーヒーサイフォンを開発したのは私の祖父、河野彬(こうの あきら)です」

そう話すのは、珈琲サイフォン株式会社代表の河野雅信(こうの まさのぶ)さん。

コーヒーサイフォン

開発者の名前から「コーノ式」として世界に知られるこのコーヒーサイフォンは、どのようにして生まれたのでしょうか。

1919年(大正8年)、九州帝国大学医学部助手だった彬さんは、外務省嘱託の大使館付医務官としてシンガポールに渡りました。

「どうやら、シンガポールで飲んだコーヒーの味が気に入らなかったようで‥‥お酒も飲まない人だったので、味覚もクリアだったんだと思います」

当時のシンガポールのコーヒーは、インドネシア産の低級品の豆を真っ黒に炒り、棒でたたいて潰したものを布に入れて、大鍋で煮出すといったもの。そこにお砂糖とミルクを入れたものが一般的でした。

「もっと美味しくなるんじゃないか」

そう思ったのがきっかけでした。

開発の元となったのは医療器具だった

日本にコーヒーが伝わったのは江戸時代の頃。彬さんがシンガポールに渡った当時は、ネルドリップで淹れる本格コーヒーが人気になっていました。

コーヒーサイフォン

日本ですでにコーヒーを嗜んでいた彬さん。どうやったら現地で美味しいコーヒーを抽出できるのか研究をはじめます。

「当時、シンガポールはイギリス領だったため、海外のコーヒー器具が輸入されていました。それを集めて、いろいろ試してみたようです」

ヒントになったのは、イギリス人のロバート・ナピアがサイフォン原理を使って発明したコーヒー抽出機でした。

ナピア式は、粉を入れるロートとお湯を入れるフラスコ部分が左右に分かれていて、お湯が沸くと粉の方に移動し、冷めると戻るという仕組み。

コーヒーサイフォン

コーノ式はフラスコとロートが上下になっている

「ナピア式にはいくつか欠点がありました。まず、使われていたフィルターは、金属に穴を開けただけのものだったため、お湯と一緒に粉も戻ってきてしまう。また、密閉されているので撹拌もできない。

それらを改善するために、身近にあった道具を使っていろいろ工夫したようです」

身近な道具?

「医療器具です。祖父は、医療用品の輸出ビジネスも行なっていたので、身の回りに様々な器具が揃っていました」

なるほど!コーヒーサイフォンがどことなく実験器具のように見えるのは、実際に医療器具が開発の元になったからだったんですね。

1921年、帰国した彬さんはその後も開発を続け、1925年(大正14年)、ガラス製コーヒー器具「河野式茶琲サイフオン」が販売されました。

コーヒーサイフォン

1928年(昭和3年)、自宅でコーヒーパーティーをしている時の様子。右から2番目が彬さん。初期のサイフォンは桐子細工が施されていた

「コーヒーの持ち味を素直に抽出する」をモットーに

彬さんが開発したサイフォンの最大の特徴は透明な「ガラス製」であること。

「ガラスにすることで、抽出されている状態が見えるというのがポイントです」

コーヒーサイフォン

コーヒーサイフォンの器具一式。右・アルコールランプとフラスコ、中・ロート、左・竹べら

コーヒーサイフォン

粉と水を別々に入れておき、お湯が湧いてきたら、粉を入れたロートをフラスコに差し込む

コーヒーサイフォン

蒸気によってお湯が上部のロートへ上がっていく

コーヒーサイフォン

空気が混ざっているとお湯と粉が馴染まないので、木ベラで攪拌してあげる

コーヒーサイフォン

上から泡(灰汁)、コーヒーの粉、液体と、綺麗に3層に分かれます

コーヒーサイフォン

アルコールランプを外すと、お湯が冷めて下に液体が戻って完成です

「開発当時は硬質ガラス(耐熱ガラス)ではなく、並ガラス(耐熱ではないもの)を使っていたので、耐熱温度差で割れてしまうことがあったようです。

帰国後、日本で作られ始めていた耐熱ガラスを使うようになって完成しました」

彬さんがこだわったのは「コーヒーの持ち味を素直に抽出する」こと。

その後、その思想を受け継いだ2代目の河野敏夫(こうの としお)さんも改良に改良を重ねます。

「うちは濾過器(フィルター)も他のメーカーのものとは全く違います。コーヒーがフラスコに落ちてくる時に、灰汁が一緒に入らないようになっています」

珈琲サイフォン

ロートの上部に灰汁が残る

余計な雑味が入らないように改良を重ねたフィルター部分。その仕組みは‥‥企業秘密です。

1 2
1⁄2
  • LINE

Follow us

全国の工芸・産地にまつわる読み物を毎日更新しています

さんち〜工芸と探訪〜の読み物は各種ソーシャルメディアでも配信中。 今すぐフォローして最新情報をチェックしよう!

関連の読み物

「さんち 〜工芸と探訪〜」がアプリ「さんちの手帖」として登場しました。記事を読むだけではなく、旅の栞や旅印帖として使える、あなたのおともになるアプリです。

  • App Storeからダウンロード
  • Google Playで手に入れよう

アプリの詳細を見る