さんち 〜工芸と探訪〜

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世界が愛する日本のコーヒーサイフォンと「医療機器」の意外な関係 美味しいコーヒーを追求する珈琲サイフォン株式会社の「コーノ式」サイフォン

投稿日: 2019年5月7日
産地: 東京
編集:
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喫茶店ブームに乗って広がったコーヒーサイフォン

1970〜80年代にかけて、日本では喫茶店ブームが起こり、一番多い時で18万軒ほどあったそう。

それまでネルドリップが主流だった喫茶店に、コーヒーサイフォンが並ぶようになりました。

コーヒーサイフォン

最盛期、コーノ式コーヒーサイフォンのシェア率は70%だったそう

「ドリップの場合、抽出時にお湯をゆっくり注ぎ続けなければなりません。たとえば、お客さんが4人来て、ブレンド、モカ、ブラジル、コロンビアと別々のコーヒーを注文されると、1杯淹れるのに5分、全員分淹れるのに20分もかかってしまい、同時提供ができません」

そのため、効率を考えてブレンド1種類しか提供しないお店もあったとか。

「サイフォンの場合、器具さえ用意して複数並べておけば、同時に淹れることが可能です。抽出中はフラスコをずっと加熱しているのでドリップよりも熱い温度で仕上がり、カップを温めておかなくても大丈夫です」

サイフォンは味も安定していると言います。

「ドリップで安定した味を出すには、1日100杯淹れる練習をして5年はかかります。そのぐらいやらないとダメ。それでも淹れる人によって味が変わります。

うちのサイフォンだったら、20時間ぐらい学べば安定した味になるし、淹れる人によってのバラつきもありません」

そうした機能性の高さから、コーヒーサイフォンは一気に喫茶店で広まっていきました。

コーヒーを上手に淹れる秘訣

大切なのは道具の使い方だと雅信さんは言います。

コーヒーサイフォン

「この器具を使うには、どうやったら美味しく淹れられるのか。器具の構造には全て意味があります。

例えば、ドリップの場合、コーヒーの粉さんとお湯さんがお話ししなくちゃいけないんです」

お話しというと?

「時間をかけて淹れる。早く淹れるとお湯がさんが“こんにちは”“さようなら”で通過するだけなんです。それでは、ローストした豆の表面の色が流れ出ただけの黒いお湯になってしまいます」

あ、なるほど!すごくわかりやすい。

コーヒーサイフォン

円すい型のペーパードリッパー「ドリップ名人」。1968年よりドリッパーの開発も続けている

「コーヒーの粒子にお湯さんが遊びに行って、“あんたどうしてたの?元気してる?”みたいな長話をする間がなくちゃいけない。その間にエキスが出るわけだから」

エキスで少し濃くなったお湯さんがまた隣の家へ、そのまた隣の家へ‥‥

「遊びに行ってお煎餅食べたり、ケーキ食べたりしながら落ちてくる必要があるから、ドリップはゆっくり淹れる。それさえわかれば、ものすごく上手に淹れられます」

サイフォンの場合は、途中の攪拌で仲良くさせてあげられるので、安定した味になるのだそう。

3代にわたる開発の歴史。いまだ尽きないコーヒーへの探究心

世界的にも古く、日本では大正時代から続く唯一のコーヒー器具メーカーである珈琲サイフォン株式会社。

コーヒー器具を作って販売するには、焙煎のこと、淹れ方のこともぜんぶ知っていなくてはいけないと、日々研究し、開発を続けています。

コーヒーサイフォン

「創業90周年(2015年)の時に、新しいドリッパーを作りました。“ペーパーでネルドリップと同じくらいの味わいを出したい”という2代目の想いに、47年かかってようやくたどり着きました」

珈琲サイフォン

開発当時の写真はコーヒー豆のパッケージにも使われている。当時の味を再現したブレンドも販売中

「よく、これまで飲んだ中で一番美味しいコーヒーは?って聞かれますが、そんなの無い。だって、満足したらそこで終わっちゃうじゃないですか。

いつも、次は何?もっとないの?という探究心があるから続けられるんです」

コーヒーサイフォン

数年前から、沖縄でコーヒー農園をはじめた雅信さん。

「去年、収穫できそう!って言ってたら、台風でやられました」

ゆくゆくは、農園のコーヒーで、泡盛メーカーさんと一緒にコーヒー泡盛を作りたいと思っているのだとか。

コーヒーへの飽くなき探究心はまだまだ続きそうです。

取材後、自宅でコーヒーの粉さんとお湯さんのおしゃべりを意識しながら淹れてみたところ、驚くほど味が変わりました。

もちろん、プロの腕前には程遠いですが、ものには理屈があり、道具は正しく使わなくてはいけないのだと実感しました。

受け継いだのは技術だけではなく、「美味しいコーヒーを飲みたい」という熱い想い。

道具に込められた作り手の想いが伝わってきました。

<取材協力>
珈琲サイフォン株式会社
東京都文京区千石 4-29-13
03-3946-5481

文:坂田未希子
写真:中村ナリコ(抽出実演の写真は除く)
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