さんち 〜工芸と探訪〜

SUNCHI ~ Explore japan through regional crafts ~

このページの先頭へ

あなただけの
さんちの手帖に

会員登録を行うことでお気に入りの読み物に栞を挟むことが出来ます。記事に栞を挟んで自分だけの栞帖をつくってみませんか?
メールアドレス:(必須)
※ 「.@(@の前にドット)」、「..(ドット2つ)」を含むメールアドレスはご利用いただけません
メールアドレスは既に使われているか、正しい形式で入力してください
会員登録する
既にアカウントをお持ちの方は こちら

退会手続き

退会すると栞した読み物や産地の情報が完全に消去され復元することはできません。本当に退会しますか?
キャンセル
退会する
こちらは2008年、愛子さま初等科入学年のもの。ディティールに若干の変化はあるものの、全体のデザインはたしかに変わっていません

ランドセルが箱型の理由は?名前の由来や起源まで大峽製鞄さんに聞きました

投稿日: 2019年3月14日
産地: 東京
編集:
  • LINE

6年間、毎日通学を共にするランドセル。

幼い頃は、少し大人になったあかしのような憧れの存在でした。そして大人になった今では、目にすると子どもの頃を思い出す懐かしいもの。

私たちにとって馴染み深いランドセル、実は日本独自の通学鞄なのだそう。でも、よく見るかたちですが、なぜランドセルはきまって「箱型」なのでしょう?

色とりどりのランドセル。近年は、色のバリエーションも豊富になりましたね

その始まりは、子どもたちの「自立と平等」にあった

ランドセルの起源は明治時代。官立の模範小学校として開校した学習院初等科が、学校指定の鞄を設けたことにあります。

学習院では明治10年の開校当初から制服が採用されました。しかし、通学形態に指定はなく、教科書を風呂敷に包んで徒歩で通う子もいれば、馬車で通ったり、使用人に荷物を預ける子もいたりと様々。

その後、同校では「教育の場での平等」という理念のもと、学用品は自分の手で持ってくるべきと改めました。馬車や人力車で通学すること、使用人に荷物を預けることも禁止しました。

そこで採用されたのが、持ち運びの利便性が高かった軍隊用の布製鞄「背嚢 (はいのう) 」。いわゆるバックパックです。

背負い鞄で両手がふさがらず、子どもたちの安全性を確保できると考えられました。オランダ語で背嚢を示す「ランセル」が変化して、「ランドセル」という言葉が生まれたのだそう。

指定鞄があることで、自分で支度をして背負って通学する習慣がつく。自立教育の一環であったとも言われています。

箱型の始まりは、伊藤博文による「かっこいい」特注品

さて、リュックサックのようなデザインから、現在の箱型ランドセルが生まれたのは明治20年のこと。

当時の皇太子であった嘉仁親王 (後の大正天皇) が学習院初等科に入学する際、内閣総理大臣の伊藤博文がお祝いの品として特注ランドセルを献上します。その特徴は、背嚢やリュックサックとは異なり、箱形をした革製のものでした。

このデザインが踏襲され、現在のランドセルが生まれることとなったのです。

「カチっとした革製のランドセルは、きっと子どもたちの憧れの的だったんでしょうね」

そう語るのは、長きにわたりランドセルをつくり続けてきた鞄メーカー「大峽製鞄 (おおばせいほう) 」の専務・大峽宏造 (おおば こうぞう) さん。

専務の大峽さん。まだランドセルが全国に普及していなかった頃から製造に取り組み、学習院初等科をはじめ国公私立校の指定ランドセルを数多く手がけてきた大峽製鞄は、ランドセルづくりの草分け的存在です

専務の大峽さん。ランドセルがまだ全国に普及していなかった頃から製造に取り組み、学習院初等科をはじめ国公私立校の指定ランドセルを数多く手がけてきた大峽製鞄は、ランドセルづくりの草分け的存在です

「ランドセルは100年以上、基本的な形が変わっていません。見た目だけでなく、機能面でも完成されたデザインだったんです」

今からやく0年前の学習院ランドセル。皇太子徳仁親王の初等科入学年のもの

たとえば、こちらは約50年前の学習院指定ランドセル。皇太子徳仁親王の初等科入学年のもの (大峽製鞄保管品)

学習院型ランドセル

こちらは2008年、愛子さま初等科入学年のもの (大峽製鞄保管品) 。ディテールに若干の変化はあるものの、基本のデザインはたしかに変わっていません

「機能面でも完成されたデザイン」とは?

詳しくお話を伺いました。

収納力、安全性、重さを感じにくい‥‥箱型の強み

改めて眺めてみると、不思議な形をしているランドセル。そもそも、なぜ箱のような形が良いのでしょうか。

「まず、箱型だと荷物が整理整頓しやすい。教科書も折れることなく並べて収納でき、走り回っても中の物がぐちゃぐちゃになりません。

それに、側面に厚みがあることでクッション性が生まれ、転んでも中身がつぶれません。子どもが誰かとぶつかった時に衝撃を和らげてくれるという一面もあります。後ろに倒れても頭を地面に打ち付けずに済みますしね」

ランドセルを開けたところ
カブセと呼ばれるフタ部分

一枚の大きな革でできた「カブセ」と呼ばれるフタの部分。開閉がしやすく、クッション性があるのでこの部分も子どもを守る役割を担います。錠前が底面にあるのも特徴的。人とぶつかったとしても硬い金属部分が接触しないようになっています

さらには、箱型のランドセルは重心が高いので、体を少し前に傾けるだけで重心が背中に乗り、重さを感じにくくなるのだそう。

両手が自由になるというバックパックの利点に加え、箱型であることが使いやすさや安全性を高めています。

学習院指定ランドセル

変わらぬかたちには理由がある。見慣れたランドセルには、子ども達のことを考え抜いた様々な工夫が詰まっていました。

次回は、大峽製鞄が長きにわたる製作と研究によって進化させてきた現代のランドセルのお話を伺います。

<取材協力>
大峽製鞄株式会社
東京都足立区千住4-2-2
03-3881-1192
https://www.ohbacorp.com/

一般社団法人 日本鞄協会 ランドセル工業会
http://www.randoseru.gr.jp/

参考文献:「ランドセル130年史」 (一般社団法人 日本鞄協会 ランドセル工業会 平成28年11月1日) 文・写真:小俣荘子
画像提供:大峽製鞄株式会社



合わせて読みたい

〈 子どもと工芸 〉

子どもの成長に寄り添う工芸があります。

子どもに芽生えた「やり抜く」気持ち。職人体験で学んだこと

職人体験

工芸に携わる職人に弟子入りし、ものづくりの奥深さや職人の心得を学んでみました!

→記事を見る




子どもが「豆皿」で好き嫌いを克服した話

豆皿

好きなものばかり食べていては栄養も偏ってしまうし、せっかく作ったものを食べてくれないと、親としてもストレスが溜まる‥‥

→記事を見る




子どもに贈りたい工芸。たった一人の職人が仕上げる「くじらナイフ」の製造現場へ

くじらナイフ

手にすると、無性に使いたくなるプロダクトがある。土佐の刃物職人が生み出した「くじらナイフ」もそのひとつだ。

→記事を見る




  • LINE

Follow us

全国の工芸・産地にまつわる読み物を毎日更新しています

さんち〜工芸と探訪〜の読み物は各種ソーシャルメディアでも配信中。 今すぐフォローして最新情報をチェックしよう!

関連の読み物

「さんち 〜工芸と探訪〜」がアプリ「さんちの手帖」として登場しました。記事を読むだけではなく、旅の栞や旅印帖として使える、あなたのおともになるアプリです。

  • App Storeからダウンロード
  • Google Playで手に入れよう

アプリの詳細を見る