さんち 〜工芸と探訪〜

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きょうは何の日?

12月6日、音の日。江戸指物が生んだ「楽器オルゴール」

投稿日: 2017年12月6日
産地: 東京
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こんにちは。ライターの小俣荘子です。

日本では1年365日、毎日がいろいろな記念日として制定されています。国民の祝日や伝統的な年中行事、はたまた、お誕生日や結婚記念日などのパーソナルな記念日まで。数多あるなかで、ここでは「もの」につながる記念日を紹介しています。

さて、きょうは何の日?

12月6日は「音の日」です

1877年12月6日、トーマス・エジソンが蓄音機「フォノグラフ」を発明しました。「オーディオの誕生日」とも言うべき日です。

1994年に日本オーディオ協会は日本レコード協会、日本音楽スタジオ協会などと、音と音楽文化の重要性を広く認識してもらうと共にオーディオ及び音楽文化・産業の一層の発展に寄与することを目的に、12月6日を「音の日」として制定しました。

音質にこだわって作られた「楽器オルゴール」

「オルゴール」と聞くと、子どもの頃に遊んだおもちゃや、宝石箱などを思い出す方は多いかもしれません。

今ではそれらの印象が強いですが、オルゴールはれっきとした「自動演奏楽器」。蓄音機が生まれる以前は、簡単に音楽が楽しめる機械として親しまれていました。

今日は、オルゴールのなかでも、さらに音質にこだわって作られた「楽器オルゴール」を紹介します。まずはこちらの動画で音色をお聴きください。きっと、オルゴールのイメージが変わりますよ。

動画中で、一番上に乗っている箱が楽器オルゴールです。その下に積まれているのは音を大きく響かせる箱 (=サウンドボックス、共鳴箱) です。

音響学を取り入れて設計された楽器オルゴールは、中高音だけでなく、低音がしっかりと響き、柔らかく美しい音色を奏でます。その音には、心を落ち着かせる効果があるのだそう。

オルゴールは「箱」で音質が変わる

音質や音量の決め手は機械部分を収める箱と、その下で音を響かせる共鳴箱にあります。

音の出る機械部分。写真はシリンダータイプのもの

音の出る機械部分。写真はシリンダータイプのもの

音質の変化は、機械部分を木の板の上に乗せるだけでもわかります。

こちらの動画は、音の変化を実験したもの。機械部分をそのまま鳴らした場合と、木の上 (共鳴箱の上) に置いた場合で、音量や音質に大きな違いが現れます。音がやわらかくなり、さらに低音まで響くことに驚きます。

さらに、木箱の「組み方」も重要なのだとか。この楽器オルゴールでは、機械こそ一般的なオルゴールと全く同じですが、収める箱に日本の伝統工芸「江戸指物 (えどさしもの) 」の技術を使うことで、美しい響きを実現しているといいます。

江戸指物の技術を使った楽器オルゴール

江戸指物の技術で実現した、楽器の響き

江戸指物とは、釘や接着剤を使わずに木工品を組み立てる技術。

音は木の繊維を伝って響くため、組み合わせる際のわずかな隙間も影響を及ぼします。そこで、繊維をできるだけ長く保てる江戸指物の技術がぴったりだったのです。

江戸指物の技術を使ったオルゴールの箱

繊維を繋ぐようにピタリと組み合わさる江戸指物の技術

70種類以上の木を試して選ばれた素材

「音響第一」の楽器オルゴールは、音質を損なうような装飾や塗装は一切ありません。もちろん、木の種類にもこだわっています。

開発したマイスターの永井淳 (ながい・じゅん) さんは、70種類以上の木を試して「心地よい音」を響かせる素材を研究したのだそうです。

密度の高い木材を使うと音がよく響くことから、選んだのは銘木の無垢材。楽器に使われることが多いメープルやウォールナットが用いられています。そのほか別注で、ローズウッド (紫檀) 、黒檀、マホガニーでも制作されています。素材の硬さや密度によって響きが異なるため、木の種類によって厚みを変えて作られます。

楽器にヒントを得て作られた構造

さらには、音がより美しく響くように楽器の構造も取り入れられています。バイオリンやピアノなどに多用される木材板の「スプルス」が響板(きょうばん)として使われています。たとえば、ピアノならば響板は弦の下に張ってあります。

響板のスプルス。曲がっている方が音の響きが良いのでカーブした仕上げになっています

響板が曲がっているとより音の響きが良くなるので、カーブした仕上げになっています

発想の元となったバイオリンの表面。カーブしたスプルスが使われています

発想の元となったバイオリンの表面。カーブしたスプルスが使われています

足は3本です。こちらはグランドピアノにヒントを得ています。3本足の場合、圧力がしっかりと足にかかるので、下に置かれた共鳴箱に最大限の響きを伝えることができるのだそうです。

オルゴールの足

冒頭の動画でも、おもちゃのオルゴールとの響きの差がわかりますが、直に楽器オルゴールの音色を聞くと、その美しさに驚きます。まろやかで奥行きのある音に包まれるのはなんとも心地よいものでした。

現在、この楽器オルゴールは、子どもの情操教育として使われたり、リラックス効果でより良い眠りを期待されたりすることも。

まるでリサイタルを訪れたような演奏を楽しめる楽器オルゴール。その日の天気、気温、湿度、聴く人の状態や気持ちで2回として同じ音色にはならないのだそう。オルゴールのある暮らし、始めてみたくなりました。

<取材協力>
EMI-MUSICBOX

<掲載商品>
楽器オルゴール シリンダータイプ
サウンドボックス (共鳴箱)

文・写真:小俣荘子
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