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きものを今様に愉しむ

きものを今様に愉しむ ゆかたのお手入れと保管方法

投稿日: 2017年8月14日
産地: 東京
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こんにちは。ライターの小俣荘子です。 私はここ数年、洋装と和装それぞれ半分ずつくらいの割合で外出するようになりました。慣れてしまうと思いのほか楽しく快適なものですが、出かける先々で「大変でしょう」と労いの言葉をかけられてしまったり、不安を口にされつつも興味を持ってくださる方にたくさん出会いました。

きものは現代の装いとして身近なものではなくなっている一方で、いつかは着てみたいと興味を持っている方も多いようです。 洋服と同じようにきものも日常に取り入れられたら、毎日はもっと彩り豊かになるはず。連載「きものを今様に愉しむ」では、きものとの付き合い方や、愉しむヒントをご紹介してまいります!

ゆかたのお手入れ

今年の夏、みなさんはゆかたをお召しになりましたか?
花火大会や夏祭り、ビアガーデン、はたまたちょっとしたお出かけに纏っても夏をより一層楽しめるように思います。今月は、ゆかたで出かけた後のお手入れや、翌年また愉しめるように保管しておく方法をご紹介します。

お気に入りのワンピースのような感覚で

和服というと、お手入れや保管が難しいというイメージがつきまといますが、ポイントさえ押さえればとてもシンプルです。基本的には、1シーズン着て、季節の終わりに洗濯して片付けるだけ。汚れや汗、シワのケアをしておくとより長く美しく着られるので、脱いだらすぐにやっておくと良いこともありますが、ほとんどワンピースなどの洋服と同じです。
それでは、順を追ってご紹介していきましょう。

◆まずはハンガーにかけて陰干し

浴衣を脱いだら、まずはハンガーにかけて陰干しをします。 (ハンガーは洋服用のものでも問題ありません。)
陰干しとは、直射日光の当たらない場所に干すこと。風通しの良い場所に干すことで、湿気を飛ばしシワを伸ばします。

浴衣は丈が長いので、ハンガーをかける位置によっては裾が床についてしまうこともありますが、気になるようでしたら下に敷物やタオルなどを敷いておくと良いかもしれません。または、お部屋の扉の上部分にハンガーを引っ掛けるようにして干すと裾がつかないちょうど良い高さになることもあります。

同様に帯や腰紐、伊達締めやウエストベルトなどもハンガーに干して湿気取りやシワ伸ばしを行います。 (肌着は下着同様に毎回洗濯しましょう)

◆汚れのチェック

ハンガーにかけたら、全体に汚れやシミがないかをチェックし、見つけた場合はできるだけ早く処置します。 水溶性の汚れは部分的に水洗い、ファンデーションなど油性の汚れの場合は少量の洗濯洗剤などを使って部分的に優しくもみ洗いします。 (真っ白なブラウスの襟などを汚してしまった時の部分ケアをイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。)

裾の泥やほこりによる汚れがある場合、泥は乾いてからタオルでつまみとり水拭きすれば問題ありません。ほこりは洋服ブラシなどで払えば取れます。そのままにしておくと生地に沁みてしまうので早めのケアが安心です。

汗をたくさんかいてしまった場合は、汗をかいた箇所を中心に霧吹きか、濡れタオルで挟むようにして湿らせます。一晩干しておくと水と一緒に汗も飛ばされています。 (ちなみにこれは洋服でも同様に活用できますよ!)

木綿や麻でなく、絹紅梅 (きぬこうばい=木綿にシルクの織り込まれた生地) などの高級ゆかたの場合は、固く絞った濡れタオルを使ってお手入れします。

その他、下駄などの履物は、使った後に固く絞った濡れタオルなどで拭いておくと次も気持ちよく綺麗に履けて長持ちするのでおすすめです。

ゆかたの洗濯・保管

◆ゆかたの洗い方

夏の終わり、ゆかたを着終えたら、洗ってから片付けます。木綿のゆかたは洗濯ネットに入れて洗濯機で洗える (5分程度で十分) とも言われますが、心配な場合は手洗いかクリーニングが安心です (縮みが心配な場合はクリーニングをお勧めします) 。絹紅梅の場合は扱いが難しいのでプロへ。悉皆屋 (しっかいや=着物専門のクリーニング) さんへ出しましょう。

自宅で丸洗いする場合は、袖を合わせてパタパタと折るだけの簡単な袖畳みにして洗濯ネットに入れて行います。大きなたらいなどに水を張り (ぬるま湯だと色が移ることがあるので必ず水で行います) 、洗剤 (おしゃれ着用洗剤など) を適量入れて混ぜます。その中にゆかたを入れて全体を押し洗いします。

最低2回すすいだら優しく水気を絞ります (力強く絞るとシワになるので要注意です) 。すぐさまネットから取り出し、大きなタオルの上にゆかたを広げます。干す前に、水気を切りながら手アイロンで伸ばしておくと乾いてからのアイロンがけが楽になります。

全体を伸ばしたら、袖を伸ばせる状態で和装ハンガーにかけて風通しの良い場所で陰干し、乾いたら畳んで片付けます。 (アイロンをかけるのは翌年着る直前のほうが良いそうです)
ちなみに、絞りのゆかたなどは、アイロンをかけるとシボ(シワ模様)が伸びてしまうので、手アイロンのみで仕上げ、どうしてもきれいに伸びなかった箇所のみ当て布をしてふんわりとアイロンがけします。

有松絞りのシボ。糸でくくって染め上げることで立体的な仕上がりとなります

◆ゆかたの保管方法

本畳み (ほんだたみ) と呼ばれる、縫い目に沿った畳み方でゆかたを畳んだら、着物専用の包み紙「たとう紙 (たとうし) 」などに包んでから収納すると安心です (クリーニングから返ってきた際も通気性を良くするため、ビニール袋から出してたとう紙に包みます) 。

たとう紙は、和紙でできているので通気性がよく、和服を湿気から守ってくれます。ゆかた購入時に付いてきたり、通販でも手頃な価格で販売されているので、簡単に手に入ります。
防虫剤を利用する際は、洋服でも同じですが、直接ゆかたの上には乗せず、たんすや衣装ケースの隅に置いて使用してくださいね。

便利なサービス

ここまで、ゆかたのお手入れと保管方法をご紹介してきましたが、オフシーズンの間の保管スペースの確保が難しいという場合もあるかと思います。そんな時には、トランクサービスなどを利用するのも便利です。

例えば、スマホアプリで簡単に利用できるトランクルームアプリ『サマリーポケット』から『着物ボックス』というサービスが今年リリースされました。きもの専門店「きものやまと」との提携で生まれたきもの専用ボックスです。温度湿度が管理されたトランクルームでの保存なので、安心ですね。

自宅に届く専用ボックス1箱に、小たとう紙5枚とたたみ方説明書が付いてくるので、きもの初心者でも気軽に利用することができます。 (画像提供:株式会社やまと)

夏の思い出となる時間を共に過ごしたゆかた。ちょっとしたお手入れと管理に気をつけて、来年もまた愉しみたいものですね。和服といえど、ゆかたは気軽なもの。身構えすぎず、ポイントを抑えればシンプルに扱えます。
夏のワードローブの1着として、思いっきり愉しんでまいりましょう!

<関連サービス>
サマリーポケット「着物ボックス」

<参考文献>
『大人のおでかけゆかた コーディネート帖』 (株) 小学館 著者・秋月陽子 (2008年)
『着物でおでかけ安心帖』 (株) 池田書店 監修・大久保信子 (2013年)
『京都で磨く ゆかた美人』 NHK出版 編者・日本放送協会 NHK出版 (2014年)

文・写真:小俣荘子
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