さんち 〜工芸と探訪〜

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わたしの一皿 小代焼の深海を泳ぐ みんげいおくむら 奥村忍による「わたしの一皿」 熊本の小代焼 小代瑞穂窯

投稿日: 2018年8月29日
産地: 玉名
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たどりついた感がある。


毎年、好きだなとは思っているけれど、季節の終わりには正直なところ「またか」と思ってしまう野菜、苦瓜。

しかし、去年からこの料理を家で作りはじめて、苦瓜消費量は激増。季節の終わりも苦にならなくなったのだ。日本語で言うならば苦瓜の煮干し炒め、か。台湾の料理である。そして苦瓜料理の決定版、と言わせてもらおう。

素材としては主役は苦瓜なのだけど、安い時に買っておくでもいいし、グリーンカーテンをして苦瓜ができすぎている人からもらえればなお良し。ちなみに苦瓜は緑のものでも、白のものでもかまわない。

みんげい おくむらの奥村忍による「わたしの一皿」瑞穂窯

その他そろえておきたい脇役たちをご紹介しよう。まずは小さな煮干し。5cmほどのもの。続いて豆豉(トウチ)。中華食材店で買うことができる。僕はいつも行く台湾で買ってくる。そして唐辛子。

豆豉なんて、使うかなあと思うでしょう。大丈夫。いつもの麻婆豆腐に入れればコクが出るし、炒め物だって同じ。あれば使う。使えるようになる。どうぞご用意ください。

これらを苦瓜を下ゆでしたものと炒める。苦瓜は、苦味が強いのが好きならば厚め、苦味が苦手ならばできるだけ薄めに切ってゆでておく。刻んだにんにく、しょうが、ねぎを炒め、そこに苦瓜、煮干し、豆豉と唐辛子。そして味付けに酒、醤油、砂糖。下ゆでしているので、味が全体に馴染めばOKだ。

この料理は台湾でよく食べる。暑い夏の台湾でこの料理を見かけると、ついつい頼んでしまう。食堂のようなところでは作り置きのものが小皿で出されるが、この料理は常温でもとても美味しい。豆豉の塩気と味の深みがたまらない。

みんげい おくむらの奥村忍による「わたしの一皿」瑞穂窯

苦瓜をよく食べるけど、ゴーヤチャンプルーや、おひたしばかりでバリエーションがない、という人はぜひ試してもらいたい。冷めても美味しいのでたくさん作っておきたい。お弁当のおかずにだって良いですね。

まだまだ暑いこの時期はうつわも少し涼やかにいきたいもの。我が家は青のうつわが多い。なので夏はうつわに困らない。とはいえ青にも色々ある。

今日は熊本の小代焼(しょうだいやき)、小代瑞穂窯の青だ。青と黒のせめぎ合い、といった雰囲気のこの楕円の鉢。鉢の形が使いやすいものなので、実際のところ年中使っているのだが、夏はこの青をできるだけ見せて、少しでも涼やかに感じたいところ。

白・黄・青と大きく3つの色に別れる小代焼にあって、この青。瑞穂窯の青は色がなかなか出にくい。ほぼ黒に振れる時もあれば、白味の強い青に振れる時も あり、今回のものは黒に振り切れるほんの少し前、と言った感じの雰囲気で、まるで深海をのぞき込んでいるかのような雰囲気がある。

みんげい おくむらの奥村忍による「わたしの一皿」瑞穂窯

今日はこの深海を小魚(煮干し)に混じって苦瓜(それも切り身)が泳いでいるのだ。などと見立てるのはどうかと思うが、食材の色も映えて、なかなか良いでしょう。

もうひとつ。この料理は大きなうつわに入れれば入れただけ食べてしまうので、このくらいのサイズにしておこうという自制心を込めてのうつわ選びでもある。

中華やイタリアン、フレンチなんかはどうにも白い磁器の皿のイメージがあるが、そんなの誰が決めたルールでもない。白い皿とは違った映え方もあるし、面白みがある。今日だって、中国で生まれた発酵調味料の豆豉が、台湾の家庭料理になり、それを日本で作っているのだ。料理だって自由だ。うつわ選びだって、ますます自由であれ。

知り合いの画家は、子供の頃から母に食事のたびにうつわ選びを任されたそうだ。それが彼女にとっての色合わせの原点だったそう。うつわ選びから人生が変わるかもしれない。ずいぶん素敵な話じゃないですか。







奥村 忍 おくむら しのぶ
世界中の民藝や手仕事の器やガラス、生活道具などのwebショップ
「みんげい おくむら」店主。月の2/3は産地へ出向き、作り手と向き合い、
選んだものを取り扱う。どこにでも行き、なんでも食べる。
お酒と音楽と本が大好物。

みんげい おくむら
http://www.mingei-okumura.com


文:奥村 忍
写真:山根 衣理
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