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こんな手のひらサイズのだるまもあれば‥‥

【祝・高崎OPAオープン】結婚も選挙も就職も。職人に教わる、正しいだるまの「願掛け」作法

投稿日: 2017年10月12日
産地: 高崎
編集:
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こんにちは。さんち編集部の尾島可奈子です。

みなさんのお家に「だるま」はありますか?

すぐに思い浮かぶのは、選挙で当選した議員さんが片目を墨入れする姿。

ですが最近は、手のひらサイズのだるまが結婚式で使われたり、愛くるしいパンダ姿のだるまが登場するなど、その姿も進化しています。

身近なようで意外と知らないあの赤くて丸い縁起ものの正体を確かめに、200年続くだるまの産地・高崎の職人さんをたずねました。

だるまの一大産地、高崎に行ってきました

明日10月13日に北関東最大のファッションビル「高崎OPA (オーパ) 」のオープンを控え活気づく、群馬県高崎駅前。

東京駅から普通電車で2時間、新幹線「とき」に乗れば1時間ほどで到着です。駅に降り立つとあちこちで目に飛び込んでくるだるまの姿。

昨年12月に取材に行った際には、毎年大変な人出で賑わう年始の「だるま市」を目前に、大きな大きなだるまがお迎えしてくれました。

駅前の巨大だるま

高崎市は、年の瀬が近づくと「だるまの生産が最盛期を迎えています」とのニュースが毎年決まって流れる、全国でも有数のだるま生産地。

安定してカラリとした空気のこの一帯は、型に紙を重ね貼りして作る張子(はりこ)のだるま作りに適しており、冬の農閑期の農家の副業として発展しました。

生産量は2011年には年間90万個にものぼり、地域には50以上のだるま屋さんがあるそうです。

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訪ねたのは、駅から車で10分ほどのところにある、だるま職人真下輝永(ましも・てるなが)さんの店舗兼工房「三代目だるま屋 ましも」さん。

大小色も様々なだるまが所狭しと並ぶ店内は、そのまま奥の工房と繋がり、タイミングが合えばだるまの絵付けなどの様子を間近で見ることができます。

こんな手のひらサイズのだるまもあれば‥‥

こんな手のひらサイズのだるまもあれば‥‥

お店の奥にはたくさんの特大だるまが

お店の奥にはたくさんの特大だるまが

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工房を兼ねる店内はひっきりなしに注文の電話が入り、奥では職人さんが二人がかりで大きなだるまの絵付けをしています。

真下さんも、少しお話を伺ったところで「じゃあ、あとは女将が話すから」とご自身の持ち場に戻られ、束になった注文書とにらめっこしながら、絵付けの筆を取り始めます。

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「人の数だけ、願いがあるからね」

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ボソリと語られた言葉にさらにお話を伺おうとすると、すでに真下さんは全意識を筆先に集中させています。

言葉を飲み込んでその様子を見つめていると、お店の奥から出て来られた女将さんの真下玲子さんが声をかけてくれました。

女将さんによると、地域の人は年内のうちにだるまを買っておいて、お正月に飾るのが恒例だそう。

真下さんは筆で、だるまの胴体に注文された方のお名前や祈念する内容をしたためていたのでした。

多い時には1日100個以上名入れすることも。

多い時には1日100個以上名入れすることも。

使い込まれた絵の具入れ。

使い込まれた絵の具入れ。

「職人はヒゲと文字が書けたら一人前です。経験年数より、これはセンスですね」

きりりとした女将さんの言葉。

だるま作りは分業制で、真下さんは絵付けの職人さんです。真っ白な張子だるまから、この工房内で着色、顔描き、名入れが行われます。

だるまの命とも言える「顔描き」は全国の産地によって特徴があり、高崎だるまは眉は鶴を、ヒゲは亀を表すという縁起づくしのお顔です。

真下さんの工房では絵付けを数名の職人さんで分担して行いますが、その仕上げの工程である顔描きと名入れは、真下さんが一手に担います。

文字入りのだるまは全国的にも珍しく、高崎だるまのもうひとつの特徴でもあります。

おめでたさがぎっしりと詰まっただるまさんの顔。

おめでたさがぎっしりと詰まっただるまさんの顔。

絵付け前の状態。「七転び八起き」を支える台座がよりはっきり見て取れる。

絵付け前の状態。「七転び八起き」を支える台座がよりはっきり見て取れる。

こんな小さなだるまにも、サラサラと筆が進む。

こんな小さなだるまにも、サラサラと筆が進む。

だるまの目入れはテレビの申し子?

せっかくなので女将さんに、だるまについてさらに詳しく教えてもらいましょう。

だるまというと選挙の時に目を入れるのが有名ですね、というと、意外なお話を聞かせてくれました。

「駅の大きなだるまは、両目が入っていたでしょう。だるまは『目』にその魔除け力があります。

江戸時代に視力を失う病が流行って、大きな目のだるまが人気になりました。ですからその当時は、黒々と両目が入っていたんですよ。

ただ、願掛けのものですから、そのうちに買い求める人から目の入れ方に注文が付くようになった。

それでお客さんに自分で目を入れてもらうのがいいだろう、と片目や白目のだるまが出てきたと聞いています。

願いが叶ってからだるまに目を入れるイメージは、テレビの時代に入って強くなりました。選挙選で当選した議員さんが筆で目を入れる姿が印象的だったのでしょうね。

本来は仏像と同じように神聖なものですから、両目が入っていた方が何よりパワーが発揮されます。飾る際も、初めから両目を入れておくのがおすすめですよ」

まさかだるまの目入れのイメージが、テレビの影響だったとは。

お客さんの納得がいくように自分で目を入れてもらう、というのも、今の商売にも通じるような発想の転換です。

神聖な存在に、少しずつエンターテイメント性が加わってきたものが、今のだるまさんの姿のようです。

ちなみにこれは東日本に多いだるまさんだそうで、西日本では黒目の鉢巻きだるまが多いそうですよ。

女将さんおすすめ・だるまの選び方

店内の一角には手のひらサイズから両手でも抱えきれない特大サイズまで、大きさ見本のだるまがずらりと並ぶコーナーがあります。

サイズの単位は「丸(まる)」。いちまる、よんまる、と呼んでいるそうです。丸々としただるまさんらしい、愛らしい響き。それぞれどんな人がどんな時に注文するのでしょうか。

下段が10丸未満のもの、中断は10〜20丸、上段は30〜60丸まで並ぶ。

下段が10丸未満のもの、中断は10〜20丸、上段は30〜60丸まで並ぶ。

「ご自宅用ですと今はマンション住まいにも合う、2.5丸が人気です。

結婚式だと4丸、両親への贈り物だと8丸が多いですね。

選挙だるまは、昔は60丸が多かったのですが、今は20丸くらい。政治家は守りたい人が多いでしょう、願いが大きいと、大きいだるまになるんですね。

解決したい悩み事が大きいときには、大きいだるまさんを買って、だんだん小さくしていくのがおすすめです」

酉の市の熊手と同じように、だるまも買い換える毎に大きくするイメージでしたが、なるほど縁起物らしい買い方を伺えました。

もうひとつ面白かったのが、群馬県出身のカップルに多いという、結婚式での活用方法。

「結婚式にご招待した方のお名札代わりに、名入れした1丸(手のひらサイズ)のだるまを置くんです。

小さいサイズなら名入れしても価格も手頃ですし、そのままお客さまがお土産に持って帰れるので、喜ばれているようです」

店内にはウェデイング用のだるまコーナーも。

店内にはウェデイング用のだるまコーナーも。

確かに参列した人にはこれ以上ない縁起の良い手土産ですね。しかも自分の名前入りというのは嬉しい。

「自分の名前が入るとだるまさんがまた格別な存在になります。うちに名入れを頼まれた方も、取りに来て実物を見ると『まぁ!』と目を輝かされますね。

他にもご友人が会社を立ち上げる際に、お祝いに会社のロゴ入りを贈られる方もいらっしゃいます」

いつでも身近に。覚えておきたい、だるまの飾り方

今日1日でだるまさんが一気に身近になりました。ちなみに家での飾り方ってあるのでしょうか?

「だるまさんは魔除けなので、玄関に向けて飾ってください。力が発揮できるように、袋からは出しておいてくださいね。

置き場所はどこでも構いません。ただ、自分にとって身近なところに置いて、初めに願を掛けた時のことを時々思い出して欲しいんです。だるまさんは、思いや願いの物質化ですから」

真下さんの「人の数だけ、願いがある」との言葉が思い出されました。

例えば家族そろって、来年もまたいい年になりますようにと願いを込めて。

新郎新婦が、自分たちの門出を祝ってくれる人たちへの感謝の印に。難しい試験に挑戦する友人への応援に。大きなチャレンジをするときの、自分の味方として。

人の数だけある願いを、だるまはお腹に秘めています。

「だるまは願いがある限り、生活に欠かせないんだよ」

再びボソリとつぶやかれた真下さんの言葉を頭の中で響かせつつ、工房を後にしました。

三代目だるま屋 ましも
群馬県高崎市八千代町2-4-5
027-386-4332
http://www.mashimo-terunaga.com/index.html

<関連商品>
中川政七商店
干支だるま 酉

富士山だるま

招き猫だるま

幸運の白鹿だるま

わっしょいだるま 女子

<関連ニュース>
北関東初出店「中川政七商店 高崎オーパ店」2017年10月13日 (金) オープン!

<参考>
小学館『日本大百科全書』
群馬県達磨製造協同組合公式サイト<http://takasakidaruma.net/>(2016/12/23時点)
高崎市公式サイト「高崎だるまの歴史」<http://www.city.takasaki.gunma.jp/kankou/souvenir/daruma-history.html>(2016/12/23時点)


文・写真:尾島可奈子

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