さんち 〜工芸と探訪〜

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旅をもっと楽しむために手に入れたいローカルマガジン

独自の視点でものづくりを発信する本、IKUNAS

投稿日: 2017年4月28日
産地:
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こんにちは。さんち編集部の西木戸弓佳です。
旅をするなら、よい旅にしたい。じゃあ、よい旅をするコツってなんだろう。その答えのひとつが、地元の人に案内してもらうこと。観光のために用意された場所ではなくて、その土地の中で愛されている場所を訪れること。そんな旅がしてみたくて、全国各地から地元愛をもって発信されているローカルマガジンたちを探すことにしました。第7回目は讃岐( 香川県 )のものづくりを紹介する本、IKUNAS( イクナス )をご紹介します。

地元のものづくりを紹介している本ということで、さんち編集部としてもとても気になっていたIKUNAS。
上質な紙に印刷された約150ページにも及ぶ冊子は、ローカルマガジンとは思えない重量感。見た目に負けず内容も深く、香川のものづくりに携わる人・物・コトが、とても丁寧に詳しく紹介されています。
例えば、2017年の4月発売の最新号は、「香川の漆」にテーマを絞って特集。伝統、製法、教育、技法、普段の使い方など、本当にさまざまな切り口で紹介され、そしてひとつひとつの内容がとても濃い。ひとつのテーマでこんなにも展開できるものか、と熱量を感じる一冊です。

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2006年にスタートしたイクナスは2009年の休刊を経て、2015年に再スタート。半年に1冊のペースで発刊されており、四国を中心とする書店や、IKUNASのオンラインストアで手に入れることができます。

発刊しているのは、香川を拠点にするグラフィックのデザイン会社・株式会社tao.( タオ )さん。グラフィックデザインを本業とする会社でありながら、冊子IKUNASの出版社でもあります。

ものづくりのローカルマガジン、どんな方が作られているのか知りたくて香川へお話を聞きに行ってきました。

お話を伺った株式会社tao.代表取締役/IKUNAS発行人の久保月さん。

お話を伺った株式会社tao.代表取締役/IKUNAS発行人の久保月さん。

伺ったのは、香川県高松市の花園町という場所。駅から少し離れたところにtao.さんの事務所はあります。ここが、冊子IKUNASが作られているデザイン会社の拠点であり、「IKUNAS g ( ギャラリー) 」という名の、冊子IKUNASで掲載した商品を紹介するギャラリーショップでもあります。 

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元、座卓屋の“秘密の花園”

「場所、分かりにくかったでしょう。ここ秘密の花園なんです」。と笑って出迎えて下さったのは、tao.代表でありIKUNAS編集長の久保月さん。この場所にギャラリーショップを作られた経緯を尋ねると、「駅からちょっと離れてるし、人通りも少ない場所。しかも長い階段の2階。表から見て何のお店か分かりにくい。お店としては好立地とは言えない条件ですが、それが逆にデザイナーとしては面白かったんです。そしてね、ここの住所は“花園”っていう町なんですけど、“秘密の花園”みたいな‥‥ちょっと隠れてて、探さないと見つからないような場所というのも気に入りました」。
“秘密の花園”らしく、扉を開けて中に入るとそこには香川の良いものがたくさん広がっています。
「あと、この場所の背景がいいんです。ギャラリーの前は空き物件で、元々は座卓屋さんが入ってたようです。内見に来た時、昔使われてた天板が転がっていたり、ロッカーや古い振り子時計がそのまま残されてるのを見て、これは使えるな。と即決しました。今の什器は、その天板をテーブルに作り変えてもらったり、什器として使ったりして、そのまま使っています」。

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工芸品の見せ方を考える実験

「IKUNAS g」は、冊子IKUNASで紹介した商品を実際に見て、買える場として2009年にスタート。
「取材で出会った物や人の中で、ストーリーに強く共感ができて、これは紹介したい!思うものだけを集めています。香川にはいろんな物産があるけれど、その中でもIKUNASの視点で選んだ、私達が本当にいいと思ったものだけを丁寧に発信していくお店です。それを面白がってくれる人が集まってくれたらいいかなって。媚びずに、自分たちのやり方を大事にしていきたい。元々、“工芸品の見せ方を変えたい”という想いが先にあって、見せ方の実験をしてるような感覚です。あんまりお店としては捉えてないかも( 笑 )ものと人を繋げる方法、見せ方のひとつとしてお店があるようなイメージです」。

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冊子もお店も「繋ぐ」ための媒体

「役割で考えると、ギャラリーも冊子も同じかもしれません。触れれるか、読めるかの違いはあるけれど、やっていることは“繋ぐ”ということ。IKUNASの活動を通してやってることは、ものと人やものともの、人ともの等を“繋ぐ”ための媒体づくりなんだと思います」。

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「IKUNAS」という“ものづくり”をしているから、共通言語で話せること。

「冊子IKUNASは、本というプロダクトを作っている感覚です。IKUNASという、ひとつのクリエイティブ。例えば紙質でいうと、この触感が良くって特別な紙を取り寄せてるんですけど、コストが見合ってないんじゃないか、重すぎるんじゃないかとかいう意見もあって議論したり。これって、例えば漆器というプロダクトを作る過程にも共通することがいっぱいあると思う。だから、工芸のものづくりの課題に向き合う時も、同じ“プロダクトを作っている人間”として話がしやすいなと思うんです。自分たちのものづくりと照らし合わせて話すと、スムーズに話が出来ることが多い気がしています」。

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工芸の現状は、どっち向いても課題だらけ。

「伝統工芸は、過去のものじゃないし、今生きてるもの。生活に根付いた“普通のもの”だったのに、いつの間にか“希少なもの”になってしまいました。身近なものじゃ無くなっちゃって距離があるのが、私的には面白くない。作ってる人たちはすごく面白いし、もっとみんな普通に面白がっていいと思うんです。だから、ここに面白いものがあるよ、いいものがあるよって常に発信をしていきたい。
あと、職人さんが持っている工芸の“技術”を、いろんなところに繋いでいくことをしています。たとえば、完成されたひとつのプロダクトだと確約された受注があるわけでも無いし、安定しない。それだと雇用にも責任が持てなくなるから続いていかない。でもその“技術”を大きな経済圏のあるところに持っていって取り入れることは出来ると思うんです。たとえば、筆を作る人がいたとして、筆そのものでは無く、筆を作る技術を活かすような。他のプロダクトと掛け合わせたりしながら、守っていけるものづくりもあると思うので、IKUNASはそこを繋いでいきたいと思っています。工芸の現状は、どっち向いても課題だらけだけど、だからこそやれることはまだまだたくさんあります。俯瞰して見て、必要なピースを掛け合わせていくような。IKUNASが関わることで、可能性の引き出しを増やしていきたいですね」。

IKUNASは、冊子やお店だけでなく、地域・社会とものづくりを繋ぐ重要な媒体として機能を果たしていました。また、作り手が持つ技術やプロダクトの魅力などの情報を整理した上で変換し、適切な形でアウトプットしていくという作業は、グラフィックデザインの背景を持つIKUNASらしい手法なのだろうと感じました。
読者と香川を深く繋げるIKUNAS、ぜひ手に取って見て頂きたい一冊です。

ここにあります。

IKUNAS g( ギャラリー )、IKUNAS公式オンラインショップ・四国を中心とした全国の書店で販売。※詳しくはIKUNAS HPをご確認ください。

IKUNAS g(ギャラリー)
香川県高松市花園町2丁目1−8 森ビル2F
087-833-1361
11:00~17:00
日祝定休
※ワークショップなどのイベント情報はHPをご確認ください。

全国各地のローカルマガジンを探しています。

旅をもっと楽しむために手に入れたい、全国各地から発信されているローカルマガジンの情報を募集しています。うちの地元にはこんな素敵なローカルマガジンがあるよ、という方、ぜひお問い合わせフォームよりお知らせくださいませ。
※掲載をお約束するものではございません。あらかじめご了承ください。

文・写真:西木戸弓佳
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