さんち 〜工芸と探訪〜

SUNCHI ~ Explore japan through regional crafts ~

このページの先頭へ

あなただけの
さんちの手帖に

会員登録を行うことでお気に入りの読み物に栞を挟むことが出来ます。記事に栞を挟んで自分だけの栞帖をつくってみませんか?
メールアドレス:(必須)
※ 「.@(@の前にドット)」、「..(ドット2つ)」を含むメールアドレスはご利用いただけません
メールアドレスは既に使われているか、正しい形式で入力してください
会員登録する
既にアカウントをお持ちの方は こちら

退会手続き

退会すると栞した読み物や産地の情報が完全に消去され復元することはできません。本当に退会しますか?
キャンセル
退会する

産地の工芸品

香川

高松

かしきがた 菓子木型

  • LINE

概要

干菓子や練り物など、意匠を象った木彫りの型に材料を詰めて菓子の形を作る、主に和菓子作りの道具。大別して小さく薄い菓子向きの1枚型と厚みのある菓子向きの2枚型とに分かれる。型から出した時に図案通りの形にするため、菓子職人は反転したデザインを頭に入れて型を起こしていく。1枚の細長い板に複数個の意匠が彫られているものが一般的。その意匠の美しさから近年、鑑賞用としての価値も見出されている木型だが、あくまで道具として重さ、大きさがどれも等しく、意図した意匠通りにするためには、熟練した職人の腕が求められる。

細かな意匠が施された特注の大きな菓子木型。

細かな意匠が施された特注の大きな菓子木型。

道具として効率がいいよう、同じ意匠のものが1枚の板に複数彫られる。それぞれにサイズ、目方、デザインが同じでなければならない。

道具として効率がいいよう、同じ意匠のものが1枚の板に複数彫られる。それぞれにサイズ、目方、デザインが同じでなければならない。

台から上板(下司板という)が外されたところ。立体的な干菓子が出来上がっている。裏を返したところに意匠が現れる。

台から上板(下司板という)が外されたところ。立体的な干菓子が出来上がっている。裏を返したところに意匠が現れる。

歴史

菓子木型の歴史は和菓子の歴史と共にある。もともと菓子はその語源を「果子」と同じくし、木の実や果物を指した。現在私たちが見るような花鳥風月を象る和菓子は、江戸時代になってからのことと考えられている。
飛鳥から平安時代にかけて中国から伝わった揚げ菓子の「唐菓子」、鎌倉から室町時代にかけて広まった点心(のちの羊羹や饅頭に発展)、戦国から安土桃山時代に南蛮貿易を通じてもたらされたカステラや金平糖などの南蛮菓子。現代にも通じる菓子が海外から伝わりながら、どの時代も砂糖は大変貴重で高価な輸入ものだった。
ようやく日本で安定して砂糖が手に入るようになったのは江戸時代以降。菓子木型もこの頃に登場する。奄美大島、琉球での黒糖づくりが始まったのに続き、8代将軍徳川吉宗が砂糖づくりを奨励した。これに最初に成功したのが高松藩。今に続く高級砂糖、和三盆の誕生だった。砂糖は塩・綿と並んで讃岐三白(さぬきさんぱく)と呼ばれ、藩の重要な財源になったという。
こうした時代背景を経て、砂糖の特性を活かした繊細な菓子細工が発達する。戦国・安土桃山時代に確立した茶の湯文化は、江戸に入って花鳥風月を意匠化した美しい菓子の興隆を後押しした。中でも細やかな表現が美しい落雁が誕生するのに伴い、江戸初期の寛永頃にはすでに長方形、丸形など簡単な作りの木型があったと考えられている。技術が進むにつれ江戸時代半ばには献上用などの大型でより細やかな作りの木型が作られるようになった。
江戸期により大きく、より精緻にと表現を極めてきた菓子木型は、明治に入って宮家や財閥の諸行事に重用されたが、文明開化と共に台頭する洋菓子に対して「和菓子」と呼ばれるようになった江戸から続く菓子は、次第に用いられる場が限られるようになる。戦中戦後の食糧難も重なって廃業する和菓子屋も増え、それは菓子木型職人の減少も伴うこととなった。現在、全国に菓子木型職人は数名のみ、1999年には四国で唯一木型職人の残る香川県が、菓子木型を県の伝統工芸品に指定している。
技術の継承が懸念される菓子木型の世界だが、近年その意匠の美しさが見直され、収集や和菓子職人、木型職人を志す人が現れていることは注目しておきたい。

  • LINE
関連する工芸の知識

Follow us

全国の工芸・産地にまつわる読み物を毎日更新しています

さんち〜工芸と探訪〜の読み物は各種ソーシャルメディアでも配信中。 今すぐフォローして最新情報をチェックしよう!

この読み物の産地

関連の読み物

「さんち 〜工芸と探訪〜」がアプリ「さんちの手帖」として登場しました。記事を読むだけではなく、旅の栞や旅印帖として使える、あなたのおともになるアプリです。

  • App Storeからダウンロード
  • Google Playで手に入れよう

アプリの詳細を見る