さんち 〜工芸と探訪〜

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元祖ねこあつめ?招き猫の街・瀬戸の「招き猫ミュージアム」に行ってきました

投稿日: 2017年2月26日
産地: 瀬戸
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招き猫3大産地

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あっ
これだ!いつも見慣れている招き猫。

「こちらは同じ愛知県、常滑の招き猫です。愛知県は招き猫産地なんですよ。常滑と瀬戸で約8割のシェアを占めます。常滑は、瀬戸の50年ほど後に招き猫づくりが広まりました。昭和20年代、常滑の主要産業だった土管が不況になってきた中で招き猫の新デザインを考案し量産したところ、そのデフォルメされた姿が人気になったのです。それまで願掛けやお守りとしての縁起物だった招き猫が、高度経済成長とともに商売繁盛を願うアイテムとして日本中に広まり、現代まで招き猫の定番スタイルになりました。瀬戸型と常滑型、何が違うのかちょっと見比べてみましょう」

・瀬戸型

「瀬戸の招き猫の多くは磁器です。招き猫に欠かせない赤や金色の絵の具は一般的な1200℃の窯だと燃えて無くなってしまうので、750℃でもう一回焼いています。他にも色数が多いほど、焼く回数が増えていきます。鈴は複数ありますね。前掛けにはひだがあります。手の上げ方が控えめなのも特徴です。焼く工程に手間がかかる分、価格も高くなります」

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・常滑型

「対して常滑の招き猫は陶器です。常滑の土は赤いので、まず最初に全体を白く塗って、その上から絵付けをしていきます。もうひとつ、それまで首についていた鈴が、小判に変化しました。今では招き猫の定番スタイルですね」

はじめは鈴の代わりだった小判(一番右)が、次第に手に持つように。

はじめは鈴の代わりだった小判(一番右)が、次第に手に持つように。

見れば見るほど違いが浮かび上がってきます。時と場所が変わると、こんなに違うのですね。こうして首を左右に振りながら両者を見比べていくと、常滑は「ザ・招き猫」なスタイルで一貫しているのに対して、瀬戸の方はちょっとずつ表情やポーズが違います。

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「瀬戸の土は粘り気があるのが特徴です。海外に輸出された『セトノベルティ』は、人形の服のひだや指先など、細かな表現に瀬戸の土が向いていたからこそ生まれました。いろいろな形を作れる分、招き猫にもこれ、という定型がないんです」

なるほど。ふたつの産地をじいっと見比べていると、「もうひとつ、招き猫の三大産地と言われる産地があるんですよ」と教えていただきました。

・九谷型

極彩色…!今まで見たことがありません。

極彩色…!今まで見たことがありません。

「あまり見たことがない姿でしょう。九谷焼の招き猫です。顔にまで模様が入っていてユニークですよね。オリエンタルな雰囲気が受けて、作られたものはほとんど輸出されたために、あまり国内で出回らなかったのですね。他と違って耳は横向きで鈴も横についています。また、ちょっと変わった座り方をしていますね。九谷焼の土は焼く前と焼いた後では収縮率が大きいので、安定するようにこういう座り方をしているとか、テーブルスタンドにも使われていたようなので、土台になるようこういう格好になったなど、諸説あります。以前九谷の方に聞いてみたのですが、今となってはもうわからないとのことでした」

他にも展示室にはコレクター垂涎の珍しい招き猫を集めたコーナーや、毎年のように増えていくコレクションを少しでも多く見てもらえるようにと設けられた企画展コーナー、ゆかりのある神社などを紹介したスペースなど、日本全国で育まれてきた「招き猫」文化がギュギュッとワンフロアに濃縮されています。

アイドル顔です。

アイドル顔です。

な、なごむ…。

な、なごむ…。

珍しい海外の招き猫。

珍しい海外の招き猫。

全国にある、招き猫ゆかりの神社などを紹介するスペースも。

全国にある、招き猫ゆかりの神社などを紹介するスペースも。

「2Fのここが、これまでの『過去』の招き猫を集めたフロアだとしたら、1Fは『現在』と『未来』の招き猫のフロアです。現代のねこもの作家さんの作品を展示、販売しています。その横で、招き猫の染付体験もできますから、ぜひ後でやってみてください」

未来とは、自分がこれから作る招き猫、の意味だったのですね。体験は後の楽しみにとっておいて、せっかく興味と理解の深まった招き猫、最後に暮らしの中での付き合い方を伺いました。

暮らしの中の招き猫

「飾るのは、テレビの上でも、玄関でもどこでもいいんです。大事なのは、目につくところに置くこと」

あ、そんなお話を、以前取材に伺った高崎だるまの職人さんのところでも伺いました。家に迎え入れた時の自分の決意や願いを忘れないように、いつでもそばに置くのが大切、と。

「招き猫が好きで、ご自分のコレクションを写真に撮って手製したカレンダーを、送ってくださった方もいらっしゃます。『本物の猫のように大切にしている』とのお話でした。今は大変な猫人気ですが、お家の事情で飼えない方もいますよね。そういう方のために、最近はペットショップで招き猫が置かれることもあるようです」

確かに、飼いたいペットの代わりになって、さらに福も招き寄せてくれるなら、これほど良い相棒はないかもしれません。

「目が合っちゃったから連れて帰る、という人も多いですね。このコレクションを蒐集されてきたご夫妻も『目の合った子を連れて帰ったら、その子がまた次の子を連れて来てくれて、今ではこんなことに』と笑って話されていました。願いがかなったら、また違う子を家族に迎え入れてくださいね」

時代によりところにより、こんなにも個性豊かな招き猫たち。どうでしょう、ちょっと欲しくなったりしていませんか?自分からお気に入りを探しに行くもよし、ある時はたと目があう運命を待つもよし。みなさんお一人おひとりにぴったりの招き猫との出会いがありますように。

招き猫ミュージアム
愛知県瀬戸市薬師町2番地
0561-21-0345
http://www.luckycat.ne.jp/

文・写真:尾島可奈子

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