さんち 〜工芸と探訪〜

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きょうは何の日?

6月9日、リサイクルの日。琉球ガラスの美しい色をつくる原料の秘密

投稿日: 2018年6月9日
産地: 沖縄
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日本では1年365日、毎日がいろいろな記念日として制定されています。国民の祝日や伝統的な年中行事、はたまた、お誕生日や結婚記念日などのパーソナルな記念日まで。数多あるなかで、ここでは「もの」につながる記念日を紹介しています。

さて、きょうは何の日?

6月9日は「リサイクルの日」です

数字の「6」と「9」を組み合わせると二つ巴の形になります。この形が消費と生産が循環する姿を表すことから「リサイクルの日」として提唱され、定着しました。現在は、各地で啓蒙活動やイベントの開催される日となっています。

再生ガラスから生まれる、沖縄の美しい器

沖縄を代表する工芸品のひとつ、琉球ガラス。落ち着いた色合いや、時折ガラスの中に見える涼しげな気泡が魅力です。

涼しげな気泡や、独特の色合いで、光を柔らかく反射する琉球ガラス

涼しげな気泡や、独特の色合いで、光を柔らかく反射する琉球ガラス

実はこの琉球ガラス、廃瓶などの再生ガラスを使って作られているのです。

琉球でのガラス製造は明治時代に始まっていましたが、原料の枯渇や戦争の影響で、戦前のガラス工房は全てなくなってしまいました。現在に残る琉球ガラスが発展したのは第二次大戦後のこと。

再生ガラスを使う製法は、戦後の資源不足から生まれたやり方でした。最初こそ必要に迫られて始まった手法ですが、沖縄の人々はそこに独特の美しさを見出し、この素材だからこそ生まれるものづくりへと発展させていきました。

光にあたるとその美しさが一層引き立ちます

光にあたるとその美しさが一層引き立ちます

現在では、廃瓶の減少や製造時の扱いが難しいことから作り手は減ってしまいましたが、再生ガラスで作られる琉球ガラスには、県外にも多くのファンがいます。

今もなお、昔ながらの原料で琉球ガラスを作り続ける最古の工房、奥原硝子製造所を訪ねました。

昭和27年創業の奥原硝子製造所。現在は、琉球伝統文化を伝える施設「てんぶす那覇」の2階に工房を構えています

昭和27年創業の奥原硝子製造所。現在は、琉球伝統文化を伝える施設「てんぶす那覇」の2階に工房を構えています

工場長の上里幸春さん

工場長の上里幸春さん

看板商品の「ライトラムネ色」は自宅に必ずある、あのガラスから

奥原硝子製造所の代表的なガラスの色は「ライトラムネ色」と呼ばれる淡いブルーグリーン。

琉球硝子

さて、この色は何から生まれているでしょう?

答えは、窓ガラス。

「一見透明に見える窓ガラスですが、実は薄く色が付いています。私たちの工房では、窓ガラスを作った時に出る切れ端を主な原料として使っています。廃瓶などの素材もそうですが、砕いて、溶かして成形すると独特の美しい色が生まれます」と上里さん。

溶かすために砕いたガラス片。断面を見てみると、ほのかに色がついていることに気づきます

溶かすために砕いたガラス片。断面を見てみると、ほのかに色がついていることに気づきます

「窓ガラスをベースに、他の廃瓶などと重ね合わせてグラデーションをかけることもあります。稀にコバルトを使ってブルーを出すことはありますが、基本的に新たな着色はしません。再生ガラスが持つ、霞みがかっているような淡い透明感を生かして作ることにしています」

こちらは茶色い一升瓶と窓ガラスを原料として作られたグラス。懐かしさを感じる柔らかな黄色が印象的です

こちらは茶色い一升瓶と窓ガラスを原料として作られたグラス。懐かしさを感じる柔らかな黄色が印象的です

そのほかにも、工房には様々な色の再生ガラスが置かれていました

そのほかにも、工房には様々な色の再生ガラスが置かれていました

バヤリースの瓶。一見透明ですが、こちらも独特の雰囲気を生むそうです

バヤリースの瓶。一見透明ですが、こちらも独特の雰囲気を生むそうです

消すのではなく、美しさとして取り込まれた気泡

通常のガラス成形では気泡が入ると失敗とされます。しかし、再生ガラスを使うと気泡が生まれやすく、完全になくすのは困難なこと。ならば、この気泡も美しさとして生かしていこうと、細かな泡をあえて残すようになったそうです。剣山などの針を使ってガラスの表面に窪みをつけ、その上にさらにガラスを巻きつけることで意図的に気泡を作ることもあるのだとか。

模様のように入った細かな気泡がキラキラと反射して涼を誘います

模様のように入った細かな気泡がキラキラと反射して涼を誘います

丈夫さと安定感、使いやすさを求めたデザイン

戦後のアメリカ統治時代には、駐在するアメリカ兵からたくさんの注文が舞い込みました。西洋のライフスタイルの中で使われる様々なガラス製品を作ることで、奥原硝子製造所の製品バリエーションも増え、形も洗練されていきます。

溶かしたガラスを竿の先にからめて、空気を吹き込んで成形していきます

溶かしたガラスを竿の先にからめて、空気を吹き込んで成形していきます

再生ガラスは、冷めて硬くなるのが早いのだそう。時に二人掛かりで素早く形を整えていきます

再生ガラスは、冷めて硬くなるのが早いのだそう。時に二人掛かりで素早く形を整えていきます

ぽってりとした安定感とほどよい厚みのある器は、壊れにくく扱いやすいため、飲食店も信頼を寄せています。季節を問わず使える色合いとそのフォルムも魅力ですね。

ガラスのサイズを測る道具

ガラスのサイズを測る道具

日々の食卓で使われる器。「見本と同じ形、サイズで均質に作ることを大切にしている」と上里さん。ガラスが冷めた後の伸縮率を考えながら大きさを整えます

日々の食卓で使われる器。「見本と同じ形、サイズで均質に作ることを大切にしている」と上里さん。ガラスが冷めた後の伸縮率を考えながら大きさを整えます

そんな「使える器」を作り続けてきた奥原硝子製造所。上里さんに、おすすめの使い方を伺うと、「しっかりした器なのでアウトドアにも持って行ってほしいなと思っています」という答えが返ってきました。

光に照らされることで色が映える琉球ガラス。たしかに太陽との相性抜群です。しっかりとしていて壊れにくいからこそ、キャンプでサラダやフルーツを盛り付けたり、冷たい飲み物を注いだり、開放的な場所で使ってみたくなりました。

琉球ガラスのお皿とグラス



<取材協力>
奥原硝子製造所
沖縄県那覇市牧志3丁目2-10 てんぶす那覇2F
098-832-4346



文:小俣荘子
写真:武安弘毅
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