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日本の暮らしの豆知識 二〇一七 弥生

産地: 未分類
投稿日: 2017年2月12日
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こんにちは。中川政七商店のバイヤーの細萱です。
連載「日本の暮らしの豆知識」の3月は旧暦で弥生のお話です。弥生の由来は、「弥生(いやおい)」が変化したものと言われています。「弥」は「いよいよ」という意味、「生」は生い茂ると使われるように、「草木が芽吹く」ことを意味します。草木がいよいよ芽吹く月という意味ですね。

そんな旧暦3月は、他にも「桜月」「早花咲月」「花見月」など、花に関連した異称も多く、桃やスミレ、沈丁花など春の花が次々と咲き始めます。そこまで花を愛でるタイプではない私でも、近所の庭先に花が増えてくるとちょっと足をとめて眺めたりします。また3月下旬にもなると、関東あたりでは桜も開花し、待ちに待ったお花見シーズンですね。暖かい日差しと穏やかな春風に誘われて、お散歩やピクニックに出る機会も増えるのではないでしょうか。

今回、ご紹介する暮らしの道具は、そんな春のお出かけに持っていきたい「コリヤナギのバスケット」です。作られているのは、兵庫県豊岡市の女性の職人さん。なんと材料のコリヤナギも自ら育てていらっしゃいます。

豊岡は、千年もの伝統をもつ鞄の産地で、奈良時代から始まる柳細工を起源とし、江戸時代には柳行李生産の隆盛をむかえ、大正以降は新素材の開発とミシン縫製により、鞄の生産地となりました。兵庫県鞄工業組合が定めた基準を満たす企業が生産し、審査に合格すると「豊岡鞄」として認定されるという厳しい管理の下、地域ブランドとしての価値を高めています。
そして、豊岡鞄の起源である柳行李を改めてブランドとして掲げた「豊岡柳」は、非常に希少ではありますが、今も尚栽培されているヤナギコリを、技術を継承する職人と、現代の鞄を生産する企業が共に発信することで、現代の生活に残しています。

柳と聞くと、枝を垂れる柳を思い浮かべますが、コリヤナギは大地から天を仰ぐように真っ直ぐに育ちます。肥沃な土壌の豊岡で育つコリヤナギは昔から品質が高いと言われています。
春からスクスク育てて年末に刈り取り、冬ごもりを経て4月頃にようやく加工が出来る状態になるそうです。そして下処理はまだ続き、1本1本皮を剝ぎ、川で綺麗に洗って、風通しの良い場所で干すといよいよ編み始めることが出来ます。なんと気の遠い作業……

このコリヤナギで作る、伝統的工芸品の代表作ともいえるのは「飯行李」。これに入れると、通気性に富むのでおひつのご飯のように美味しいおにぎりがいただけます。 また、今回のバスケットは鞄の産地ならではのアイテム。江戸時代の柳行李は、荷物を入れて運搬するのに使われていた、まさに現代の鞄です。明治の頃には、柳行李に革の持ち手が付いて鞄の形に発展し、更に製法も応用されてバスケット型も作られるようになりました。
この形、私もですが懐かしいと思われる世代がありそうです。現皇太子が子供の頃に愛用され「なるちゃんバスケット」と呼ばれ、多くの幼稚園で採用された経緯があります。素材やデザインは異なりますが、「大正バスケット」と呼ばれ当時大流行した、蓋付きカゴも数多く豊岡で作られていたそうです。

幼稚園児にはお弁当が入るくらいの小さなサイズが適当ですが、もう少し容量のある大人サイズで、中にも生地を貼って頂き、使いやすい仕様にお誂えをしました。 素材としては軽いのですが、しっかり編みこまれていてとても丈夫です。何十年と大事に使って、経年変化も楽しみたいと思います。(あとは姪っ子に譲りましょう。)
このバスケット、実は家で収納カゴとして使っており、まだ外出時に使えていません。カゴにお弁当や水筒を入れてピクニックに行くことに憧れたまま、未だ実現出来ずにおります。まずはピクニックの予定をたてて、今年は「なるちゃんバスケットのピクニック」を実現させたいとひそかに願う、弥生の暮らしの道具です。

<掲載商品>
問い合わせ先:japan source
コリヤナギのバスケット

細萱久美 ほそがやくみ
東京出身。お茶の商社を経て、工芸の業界に。
お茶も工芸も、好きがきっかけです。
好きで言えば、旅先で地元のものづくり、美味しい食事、
美味しいパン屋、猫に出会えると幸せです。
断捨離をしつつ、買物もする今日この頃。
素敵な工芸を紹介したいと思います。

文・写真 細萱久美

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