さんち 〜工芸と探訪〜

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自転車をこぐと、靴下ができる。出張型の工場体験「チャリックス」

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「自転車をこいで自分だけの靴下がつくれる、チャリックスです!」

日本各地の工芸メーカーが集まる合同展示会「大日本市」を訪れたときのこと。不思議な組み合わせを耳にして、思わず足を止めました。

「え‥‥?自転車でソックス??」

振り返ると、今まさに自転車をこぎ出そうとしいる人の姿が。

自転車をこぐと、お隣の機械が動き出しました!

自転車をこぐと、お隣の機械が動き出しました!

どうやら、こちらの機械が織り機。編まれた靴下が少し顔を出しています

どうやら、こちらが「編み機」のよう

編み機にはたくさんの糸がかかっていました

編み機には、たくさんの糸がかかっています

編まれた靴下の先が顔を出します

編まれた靴下の先が少しずつ顔を出します

糸をセットして、自転車を漕ぐこと約10分。編み上がった靴下を裏返したら、つま先を縫って完成です。

できあがった靴下。タグの「Made by」の欄には自分の名前を入れられます

できあがった靴下。タグの「Made by」の欄には自分の名前を入れられます。これは嬉しい!

自転車をこぎながら、実際に機械が動く様子が見られるチャリックス。たくさんの糸から好きな色を3色組み合わせ、長さ、サイズを選んで自分だけの靴下をつくることができます。

チャリックスの靴下織り機

靴下のつくり方、知っていますか?

この活動を行うのは、株式会社創喜 (そうき) さん。靴下の一大産地である奈良の老舗靴下メーカーです。

同社ではこども用からおとな用までさまざまな靴下をつくってきました。たっぷりの糸で編む、柔らかな感触のローゲージ靴下が看板商品。履き心地の良さもさることながら、冬は暖かく夏はムレにくい機能性の高さが大きな魅力です。

そんな実力派のメーカーが、なぜ自転車でワークショップを?

自転車で靴下を編むブランドチャリックス 奈良

「靴下がどうやってできるか、知ってますか?

すべて機械でできると思ってる方も多いようですが、実は人の手が入らないとつくれません。

まず、デザインや組み合わせる糸の種類によって、職人が機械のオリジナルのプログラムを設計します。その機械を操る人のほか、靴下を裏返して整え、つま先を縫い合わせて、アイロンをかけて整えるそれぞれのパートで専門の技術を持った職人が必要です」

そう語るのは、創喜3代目の出張康彦(でばり やすひこ)さん。

複雑なつくりの編み機を全て分解して、自分で組み直せるようになってやっと一人前の職人なのだそう

複雑なつくりの編み機を全て分解し、自分で組み直せるようになってやっと一人前の職人なのだそう

靴下のデザインに合わせて、編み機を組み替えたり、メンテナンスも自身で行うのだとか

靴下のデザインに合わせて、編み機を組み替えたり、メンテナンスも職人が自ら行います

「チャリンコをこいでソックスがつくれるので、チャリックス。実際に工場で使われている編み機でオリジナルの靴下をつくれます。

チャリックスでは、靴下をつくる経験とでき上がった靴下の両方を楽しんでいただけるんです。活動を通じて、ふだん何気なく履いている靴下のことや、ものづくりの現場に興味を持ってもらえたらと考えました」

なんだか楽しそう!そんな気持ちで覗いたら、思いがけずものづくりの奥深い話が聞けました。身近な存在の靴下ができるまでのこと、全然知らなかったなぁ。

出張して、工場を開く

一方で、現在、日本国内で靴下が生産できる工場は減少し続けているそうです。大量生産の安価なものが増え、履き心地の良い靴下を編む技術が、いま失われつつあります。

「もっと、靴下の良さを知ってもらいたい。広めたい!」そんな想いのもと、工場を飛び出し各地で開催できる出張型の体験ワークショップが生まれました。

チャリックス

体験を通してファンが生まれる

この活動、いまではファンが多いのだとか。靴下が気に入ったり、愛着が湧いたり、もう一度自転車での靴下づくりを楽しみたいとリピートする人が何人もいるのだそう。

編み機の構造やものづくりに興味を持って色々と質問されることも多いそうです。

「まずは楽しんでもらえたらいいんです。それで靴下作りのことを知っていただくきっかけになったらと思っています」

チャリックスには、ふつうのワークショップとまた一味違う新しい発見がありました。あなたも自転車をこぐと、靴下の見方が変わるかもしれません。

 

<取材協力>
株式会社創喜
http://www.souki-knit.jp/

文:小俣荘子
写真:菅井俊之
画像提供:株式会社創喜

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