さんち 〜工芸と探訪〜

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産地の工芸品

長崎

長崎

べっ甲のブローチ べっ甲のブローチ

長崎べっ甲

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概要

「玳瑁 (たいまい) 」という海亀の甲羅を加工して作られるべっ甲細工。黄色い部分が多いものほど上物とされ、特に飴色一色の製品は、その希少性から珍重されている。

ペンダント、ブローチ、髪留め、タイピン、カフスなどの装飾品のほか、耳かきや根付けといった小物類、宝船や打ち出の小槌のような置き物作品まで多様な製品が作られてきた。現在、原料が入手しにくく、希少性も高まっている。災いから身を守ってくれる、幸運を招く「お守り」としても根強い人気を誇る。

歴史

べっ甲の細工技術は、古くから中国が持っていた。前漢の武帝が設置した楽浪郡の遺跡からべっ甲の櫛が出土しており、また、万里の長城で名高い奏の始皇帝の王冠の一部がべっ甲で装飾されていたといわれている。

日本で初めてべっ甲細工を目にしたのは、今から1450年ほど前の人々と考えられる。遣隋使として中国に派遣された小野妹子らが持ち帰った皇室への献上品の中に、べっ甲を用いた美術品があった。現在、現存する最古のべっ甲として、奈良の正倉院の宝庫に保存されている。

日本におけるべっ甲細工制作の歴史は、今から約300数十年前の江戸時代のこと。中国で産み出された技法が16世紀にポルトガルに入り、ポルトガル人の来日により17世紀前半に長崎に伝えられた。鎖国により、オランダ・中国との唯一の貿易港として開かれた長崎では、べっ甲の原料を入手することができたため、長崎を中心にべっ甲細工の技術が発達していくことに。その美しさは多くの女性の憧れとなり、日本三大花街の一つ、長崎の丸山花街では遊女たちの髪をしばしば飾り、その装髪具は京都、江戸へと流行した。

現在は、「べっ甲細工」と呼びならされているが、本来は「玳瑁細工」が正しい名称であった。玳瑁は、珊瑚や琥珀と同様に宝玉・宝珠などを表す王偏がつく素材。これは、中国で珍重されていたものに使われる表現であり、そのことからも贅沢な品であったことが伺える。名称が変化したきっかけは、江戸時代に贅沢を禁じた『奢侈 (しゃし) 禁止令』が出された頃。玳瑁製の櫛 (くし) やかんざし類を、価値の低いべっ甲製 (スッポンなどで作った製品) と言い逃れたためと言われている。役人の目をかいくぐってでも着飾りたいという人々のおしゃれ心と知恵から生まれた言葉であったようだ。

1859年に各国との間に開港条約が締結されると、オランダ船だけでなく、アメリカ、イギリス、ロシアなどの商船、軍艦が絶え間なく長崎の港に出入りし、多くの外国人が長崎の街を自由に散策するようになった。この時期から、外国人が土産物を購入していくようになり、べっ甲細工も外国人向け製品の需要に応えていくこととなる。

技術が向上する中で、次第に美術作品や大型のものも制作されるようになっていった。日本で最も古い歴史を持つ江崎べっ甲店の6代目江崎栄造 (えざき えいぞう) 氏は、精力的に数々の美術作品を制作した。その結果、1915年のサンフランシスコ万国博に出品した作品『岩上の鷲』と、1937年のパリ万国博に出品した『鯛の置物』がともにグランプリを獲得。その技術の高さを世界に知らしめることとなった。同氏は、べっ甲業界で唯一の無形文化財に指定されている。

2017年、国の伝統的工芸品に指定された「長崎べっ甲」。その美しさは現在も多くの人々を魅了している。

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