さんち 〜工芸と探訪〜

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お茶と茶器の幸せな関係

投稿日: 2017年1月14日
産地: 三重
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こんにちは。中川政七商店のバイヤー、細萱久美です。
みなさんは珈琲とお茶で言えばどちら派でしょうか。私は、外では珈琲も飲みますが、家だとほとんどお茶ばかり飲んでいます。
最近では、サードウェーブコーヒーも定着して、次の波も来ていると言われるほど勢いのある珈琲に押され気味なお茶ですが、日本では温暖な地域を中心に複数の産地で相当数の銘柄のお茶が作られています。また、お茶を淹れる急須の産地もいくつかあり、常滑、萬古、信楽などの陶器から有田の磁器、鉄の南部鉄器あたりが有名です。むしろ日常で当たり前に出てくることも多いお茶ですが、それだけ日本には古くからお茶文化がある訳で、個人的に好きなこともありますが、改めてお茶の美味しさ、楽しさを提案したいと思います。

ひとくくりにお茶と言っても、煎茶、ほうじ茶、紅茶、フレーバーティー、雑穀茶、ハーブティーなどあらゆるお茶を、時間や気分によって飲み分けています。
珈琲にも産地やブレンド、焙煎などで多種多様な種類と飲み方がありますが、お茶も種類によって形状から違いがあり、香り・味・水色(すいしょく)もそれぞれに特有なものがあります。そこを上手に引き出すのが、お茶を楽しむ醍醐味と言ってよいかもしれません。そしてその醍醐味を味わうには、お茶に合わせて茶器、とりわけ注器を選ぶことは、美味しさを引き出すポイントになります。そこまでこだわるのは面倒・・・と感じるかもしれませんが、これをきっかけに、まずはお茶を急須でていねいに淹れてみようと思っていただけると嬉しいです。

ちなみにハーブティーは別として、日本茶・紅茶・中国茶などの「茶」はすべてカメリア・シネンシスというツバキ科の茶の樹から作られており、それが土壌や気候、特に製法によってさまざまな種類のお茶になります。烏龍茶に代表される中国茶は実に1000種を超えると言われており、日本茶とは文化も飲み方も異なるので、今回は日本茶を基本に、私個人がおすすめする茶葉と注器の組み合わせをご提案いたします。写真の器は私物ですが、形の参考としてご覧ください。

日本茶で一般的に普段よく飲まれているのは煎茶、ほうじ茶、番茶、玄米茶などでしょうか。特に緑茶のうま味が好きな方は玉露やかぶせ茶も飲まれると思います。うま味を引き出すには低めの温度、香りや渋味を引き出すには高めの温度が向いているので、玉露は60度、煎茶で約80度、ほうじ茶や番茶、玄米茶は100度に近いお湯で淹れます。お湯の温度は、注器の種類にも関係してきます。

急須

急須(作家:伊藤雅風)

急須(作家:伊藤雅風)

煎茶に向いている注器は、ご存知「急須」です。急須は、注ぎ口と直角に持ち手が付いていて、基本の持ち方は、急須を持つ手の親指で蓋を押さえながら、最後の一滴まで絞り切るので、形・サイズなどの持ちやすさは必ず確認しましょう。陶器と磁器だと、どちらかと言えば陶器がおすすめです。陶器の粘土素地によって雑味が取れ、角のない味のお茶になると言われています。実際に香りは残りやすいので、洗剤の使用は避けましょう。急須の有名な産地、愛知の常滑や、三重の萬古焼はいずれも陶器製です。形、サイズも様々ですが、茶葉にお湯が回りやすいことと、洗いやすさの点では、蓋がやや広めの形状が使いやすいと思います。

絞り出し

絞り出し(産地不明)

絞り出し(産地不明)

絞り出しという持ち手のない注器もおすすめの形です。持ち手が無いので置き場所もコンパクト、茶漉しも無く洗うのも簡単です。こんなミニマムな茶器があると気軽にお茶を淹れられます。ただし、手に持つので熱湯で淹れるお茶には不向き。玉露や煎茶を低温で淹れるのに適しています。玉露などの産地でもある宇治では古くから使われている形です。

しぼり出し急須(萬古焼 カモシカ道具店)

しぼり出し急須(萬古焼 かもしか道具店)

こちらは、「絞り出し」に持ち手が付いたタイプ。持ちやすく、お茶を絞り出しやすく、洗いやすい形に工夫されています。絞り出すとは、お茶の旨味を最後の一滴まで絞り出すこと。美味しいお茶を、日々気軽に淹れるには便利な急須です。茶葉も煎茶や玄米茶、ほうじ茶など比較的万能です。

土瓶

土瓶(手前が作家:小川甚八に金継ぎ 奥が京焼き)

土瓶(手前が作家:小川甚八に金継ぎ 奥が京焼き)

熱湯でたっぷりと淹れたいほうじ茶や番茶には、土瓶タイプの注器がおすすめです。
土瓶は、上部に蔓形の持ち手が付いていて、名前からも分かるように、陶器が多いですが磁器の土瓶もあります。比較的大振りなものが多く、茶葉の大きなお茶は入れやすく、茶葉も広がりやすいので美味しく淹れることができます。厚手だと保温力にも優れ、お代わりも熱いまま。我家の夕食後は、雑穀茶がお決まりで、土瓶にお湯を足しながらたっぷり飲みます。姿もゆったりとおおらかなので、リラックスタイムにはぴったりです。

今ではわずかになった直火にかけられる煎じ土瓶が始まりで、良質な耐火土が採れる伊賀は土瓶や土鍋の産地として有名です。煎じ土瓶は私も使ったことがなく、特殊ではありますが、ちょっとした憧れもあります。

ポット

ポット(作家:加藤財)

ポット(作家:加藤財)

注器の形状で言うと、あとはポットがあります。ポットは、注ぎ口と正反対側に縦のわっかの持ち手がついたもの。ティーポットと言うと紅茶のイメージですが、中国茶を入れる小さめの注器もポットの形状が主流です。今は、色々なデザインのポットがあって、何専用ということもありませんが、適したサイズ感はあると思います。最近では和紅茶も流行っており、紅茶はポットの中で湯が対流することで茶葉がよく開くため、ある程度大きく、丸みのあるポットが最適です。耐熱ガラスのポットだと、対流がよく見えて楽しいですよ。

番外・耐熱グラス

耐熱グラス(HARIO)

耐熱グラス(HARIO)

注器ではないので番外になりますが、耐熱グラスです。二重構造なので、熱いお茶も普通に持てて便利です。やはり手軽さが魅力のティーバッグもよく飲みますが、ティーバッグでも、きちんと蒸らすと蒸らさないでは味も香りも変わります。

おおまかではありますが、それぞれのお茶に適した注器の紹介をさせて頂きました。お気に入りの茶器を見つけたら、何度か淹れてみてお好みの味わいを見つけましょう。お茶を淹れることはさほど難しいことではなく、人に淹れてあげる気持ちで淹れるといつもより少し美味しくなるかもしれません。
お茶は喉の乾きを潤す以外に、「お茶の時間を愉しむ」といった、お茶を介して時間や空間を愉しめるものだと思います。ちょっと凝り始めたら、お茶と茶器を取り合わせた気軽なお茶会も楽しいですよ。自分に合ったお茶時間をお愉しみください。

<掲載商品>
かもしか道具店
しぼり出し急須

細萱久美 ほそがやくみ
東京出身。お茶の商社を経て、工芸の業界に。
お茶も工芸も、好きがきっかけです。
好きで言えば、旅先で地元のものづくり、美味しい食事、
美味しいパン屋、猫に出会えると幸せです。
断捨離をしつつ、買物もする今日この頃。
素敵な工芸を紹介したいと思います。

文・写真 細萱久美

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