さんち 〜工芸と探訪〜

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「すりこぎの材質は山椒の木が最適」。その理由を益子の竹工房せきねで知る

投稿日: 2019年8月27日
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こんにちは。細萱久美です。今年も、日々の暮らしを楽しく、豊かに彩る工芸や食を探訪し、「さんち」に発信していきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

前回、頼れる知り合いがいることで縁の深まった岐阜の「のぼり鯉」を紹介しました。今回も、友人や仕事のご縁もあって、ここ数年で定期的に訪ねるようになった益子町から暮らしの良品を紹介いたします。

益子町は益子焼でも有名で、以前からかなり気になる地域でもあった割に行く機会がほとんどありませんでした。

東京から車だと約2時間で小旅行感覚ですが、電車だと約3時間かかり、ペーパードライバーの私には少々腰が重たかったかもしれません。秋葉原から直行のバスがあることを知ってから、行きはヨイヨイで笠間の知り合いを訪ねては、作家さんの工房や美味しい店に連れてもらっています。

益子のすりこぎ工房へ

中川政七商店に勤務していた当時に、益子のすりこぎ工房にお世話になりました。

すりこぎ屋がつくったツボ押し

開発商品は、すりこぎを作る技術で作った「ツボ押し」。通常のすりこぎ作りには足りない細めの枝を利用して作りました。部分的に木の皮を残すので手になじみやすく、固すぎず柔らかすぎない木の触感が肌当たりも良く仕上がりました

ご相談に乗っていただいたのは、「竹工房せきね」の関根さん。

ホームページだとすりこぎがメイン商品になっていますが、精巧な竹細工の商品も様々作られています。工房での製作と、春から秋にかけては全国のクラフトマーケットを巡回することをお仕事の二大柱にされています。

山椒の木からつくられる「竹工房せきね」のすりこぎ

工房を訪ねたのは2018年2月。まだ雪の残る寒い時期でしたが、すりこぎの材料である山椒 (さんしょ) の木を採りに入る近くの山まで案内してもらいました。

特に整備されていない野生的な山で、少しの見学で終わりましたが、伐採時期は10月〜2月の真冬なので、木を切って担いで降りるのはどれだけ大変な作業だろうと想像しました。

雪が無ければまだ良くて、雪が降ると当然足もとられるし、山の麓まで行くのさえアイスバーンで危険との隣り合わせだそうです。

平地の畑に植樹も始めたそうですが、太く育つのに10年かかると。なんて気が遠い話‥‥。

すりこぎの原料となる山椒の木の植樹

そして伐採した山椒の木はすぐには使えず、約1年間しっかり乾燥させてからカットや削りの工程を経て仕上げます。

真っ直ぐとは限らず、太さもまちまちな山椒の木を1本1本加工するのも大変ですが、何より伐採作業は体力・気力無しでは続けられないことです。それもあってか、国産の山椒の木のすりこぎをここまで安定的に、専門で作る工房は他には無いかもしれません。

すりこぎの原料となる山椒の木
山椒の木を研磨機にかけて磨く様子

アケビやマタタビなどの籠やざるの産地・東北でも聞いた話を思い出しましたが、天然材料による商品作りは、当然ながら材料が無いと始まりません。

その収穫が過酷であればあるほど従事者が減少し、高齢化も重なって、製品の種類や量が減っていくのも仕方がなさそうです。

まだまだお元気な関根さんではありますが、無理はせずに続けていただきたいなと思っています。

すりこぎの材質は、なぜ山椒の木が最適?

天井から吊り下げられたすりこぎ

ところですりこぎに山椒の木が最適なのは、木に解毒作用があり、擦った際の木の粒子が、冷蔵庫の無い時代には食あたりを防ぐとされていたそうな。

現代にその必要はなくとも、自然の凸凹がしっかり握りやすく、すりこぎはやはり山椒の木が最適であると感じます。

竹工房せきねでは、直径35ミリメートル、長さ20センチメートル程度の一番人気のMサイズから、大きなものは長さ40センチメートルまで製造しています。

ただ、乾燥工程の今の時期、在庫は品薄で5月位からある程度潤沢にお届けが可能になるそう。気になる方はご予約をおすすめします。

「竹工房せきね」関根さんのすりこぎ

もしお訪ねの際は、関根さんお一人で作業されているので、事前にご連絡を。 大きいけれど温厚なワンもおります。

車でしたら、「さんち」の益子紹介スポットを回られても楽しそうです。

「竹工房せきね」の関根さん

<取材協力>
竹工房せきね
住所:栃木県芳賀郡益子町七井1162-2
電話:0285-72-4434



細萱久美 ほそがやくみ

元中川政七商店バイヤー
2018年独立

東京出身。お茶の商社を経て、工芸の業界に。
お茶も工芸も、好きがきっかけです。
好きで言えば、旅先で地元のものづくり、美味しい食事、
美味しいパン屋、猫に出会えると幸せです。
断捨離をしつつ、買物もする今日この頃。
素敵な工芸を紹介したいと思います。

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文・写真:細萱久美 *こちらは、2019年2月12日公開の記事を再編集して掲載しました。なにげなく使っていた道具でも、丁寧に職人が作っている背景を知るとより一層愛着が増しますね。

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