さんち 〜工芸と探訪〜

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日本で唯一の「杼」職人に、世界中から依頼が舞い込む理由 京都西陣の長谷川杼製作所 長谷川淳一さん

投稿日: 2019年4月18日
産地: 京都
編集:
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人間国宝級の織物作家、伊勢神宮への奉納品、さらにはフランスの文化財修復プロジェクト。世界中から依頼が舞い込む「ある道具」の職人さんがいます。

それは「杼(ひ)」という織物を織るときに欠かせないもの。

長谷川製作所の杼

機織り機にぴんと張られた経糸(たていと)のあいだに緯糸(よこいと)を通すときに使われます。

英語では「シャトル」と呼ばれ、手織り職人の手と緯糸のあいだを行き来することから「織る人の手の一部」などと表現されることもあるんだとか。

長谷川杼製作所の杼

これが「杼」。織物を織っていくうえで欠かせない道具です

西陣織会館の織物実演

杼を使って、機織り機に張られた経糸のあいだに緯糸を通して織っていきます

杼

こんな風に色ごとに使い分けます

今、この杼を作る職人さんが、日本にはたったひとりしかいません。その工房を訪ねて京都に向かいました。

織物の産地、西陣にひとり残る杼職人

最後の杼屋、長谷川杼製作所があるのは、京都市内の金閣寺や北野天満宮にもほど近い町の一角。3代目杼職人の長谷川淳一さんは、国選定保存技術「杼製作」保持者に平成11年に認定された、現在の日本に残る唯一の杼職人です。

60年以上ものあいだ、杼を作り続けてきた長谷川さん。やはり作務衣が作業しやすいとのこと

60年以上ものあいだ、杼を作り続けてきた長谷川さん。やはり作務衣が作業しやすいとのこと

長谷川杼製作所の入り口

長谷川さんのお父さん・繁太郎さんが結婚を機に新築したという、住まいと工房がひとつになった京町家

表戸口を開けてすぐのところにある店の間で、杼の仕上げをしながらお客さんの対応をします。座布団のまわりには、ヤスリや金槌、カンナなどの道具がたくさん。

杼職人さんの道具

金槌、ノミ、カンナ、ヤスリ…。その他にも聞いたことがないような道具もたくさん

「ちょっと動かすと『あら、どこいった』って言うから、掃除ができないんですよ」

奥さんの富久子さんが言うと「このほうが『あれ持ってきてくれ』言わんでも、自分でできますやろ。それに、気分が乗らしませんしね」と長谷川さん。

引き出しに手をのばす職人さん

仕事場にある古い箪笥は80年ほど前にあつらえたもの。なんでもすぐに手が届く

「100とおりの形」がある杼づくり

長谷川さんの仕事場を見渡すと、さまざまな大きさや形の杼が目に入ります。

うすい作りで経糸をすくいやすくした「すくい杼」や、先端が角ばった「縫取杼」、最も一般的な手織りで使われる「投げ杼」、そして「バッタン」と呼ばれる装置がついた織り機で使われる「弾き杼」など、それぞれ形や重さが違います。

西陣織会館の杼の展示

織物の種類や機織り機に合わせて使い分けられるという杼は、大きく分けて5種類ほどの基本の形があるといいます

西陣の特産品であるつづれ織りは太い糸を扱うことが多いですが、繊細な細い糸を扱う織物もあります。また同じ織物のなかでも、部分によって杼を使い分けたり、複数の杼を使って同時に織っていくこともあるそう。

「まあ、お客さんが100人いれば100の手がありますわな。そしたら『私はちょっと軽いのにしてくれ』とか『私はもうちょっと短いのにしてくれ』とかね。

お客さんに合わせてアレンジして作らなんので、お客さんが100人いたら100とおりの形があるわけですわ」

引き出しに入っている完成した杼

引き出しにはさまざまな形、大きさ、種類の杼がびっしり

お客さんの名前がつけられた杼

お客さんが気に入った杼には、お客さんの名前がつけられて「その人の杼」になります

ひとりのお客さんから一度に受ける注文は、一度にだいたい1丁から2丁。価格は小さいもので2000円から8000円ほどですが、オーダーしたものは4、5万円です。

「何十年、百年と持ちますから」

1丁の杼を、3代に渡って、100年以上使い続けているお客さんもいるそう。そのようなお客さんの杼を修理したり改良したりしながら、長谷川さんは杼職人としての技術を磨いてきたのです。

「使われるほど、その方の手に馴染んで使いやすくなるようです」

長谷川杼製作所の表戸口

店を訪れたお客さんと、この棚を挟んで話をします

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