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京友禅・京小紋とは。京都が生んだ「手描き」の華と「型」の洗練

投稿日: 2020年7月17日
産地: 京都
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着物の産地といえば、京都をおもい浮かべる人も多いはず。

今日は中でも京都の染文化を代表する、「京友禅」と「京小紋」について紹介します。

京友禅と京小紋の間柄。「手描き」の華、「型」の洗練

着物の一大産地である京都。代表する「織り」といえば西陣織があげられる。そして「染め」としてまず語るべきは京友禅と京小紋であろう。

京友禅

京友禅

京友禅は、着物を絵画的に描く画期的な技術として江戸時代の京都に花開いた。

細い糸目糊と多彩な色挿しによって直接布の上に自由な図様を表現する「手描友禅」は、当時着物文化の中心であった京都の染め技法の集大成であった。

露草の花の液で輪郭を描く「下絵」、輪郭に沿って筒で糊を置く「糸目糊置」、模様部分に染料を挿す「彩色」などすべての工程が手作業で行われる。京都の長い文化の蓄積と、工程ごとの熟練した職人たちの技によって生み出されている。

のちに開発される「型友禅」(型紙を用いて版画のように色を乗せていく)とともに、友禅染は全国の染物産地へも伝わり、日本の染色技術の発展へとつながった。

その色柄も、染織史に残した功績も華々しい京友禅に対し、落ち着きのある渋さが特徴なのが京小紋だ。

京小紋

京小紋

型を用いて連続した模様を染める技法で、京友禅が誕生した当時には、京小紋の技法は完成されていたとされる。

細かい型模様はすでに平安時代末頃から鎧の胴の革を染める際に用いられており、室町時代には武家の衣類にも使われ、上杉謙信や徳川家康の遺品の中にも小紋染を見ることができる。

江戸時代に武士の裃 (かみしも) に用いられたことをきっかけに広まりを見せ、小袖や長襦袢など日常的な着物にも用いられた。

明治維新以後は、好みの変化や化学染料の輸入により、単色から多色へと変化しながら、友禅染と互いに刺激しあって技法を向上させてきた。

のちに登場する「型友禅」と技法的にほぼ同じであることから、現在は京小紋を型友禅の一つに分類する場合もある。

手描きの華と型の洗練。京友禅と京小紋は、どちら無くしても語れない存在なのだ。

京友禅・京小紋といえばこの人。稀代のデザイナー宮崎友禅

友禅染誕生のキーパーソンと言われるのが扇絵師、宮崎友禅だ。

町人文化の栄えた江戸時代の元禄期 (1688年~1704年) 、京都の洛東、東山・知恩院の門前町に居を構えていた宮崎友禅の描く扇絵が人気を集めていた。その人気の様子は、井原西鶴の浮世草子『好色一代男』 (1686年) に描かれているほど。

染色技術が高まった江戸時代、人気絵師友禅の描く絵画的な表現を染工たちがこぞって取り入れ、これが友禅染の発展につながったとされている。着物に新たな表現をもたらした立役者といえよう。

また同氏は、加賀友禅にも大きな影響を与えた。1712年、金沢の御用紺屋棟取の「太郎田屋」に身を寄せ、斬新なデザインの模様染を次々と創案。その傑出した能力で友禅糊の技術を定着させるなど、加賀友禅の発展に大きく寄与したともいわれている。

<関連の読みもの>

加賀友禅とは。“虫食いが美しい” 金沢生まれの染色技、歴史と今
https://sunchi.jp/sunchilist/craft/116033

京友禅・京小紋の歴史

◯贅沢禁止が進化させた染色技術

京友禅の起源は明らかではないが、江戸時代に度々出された贅沢を禁止する奢侈禁止令の影響によって作られるようになったと考えられている。金糸や色糸を用いた豪華な刺繍や、金・銀箔を重ねる装飾法が禁じられ、そうした技法を使わずに美しい模様を表す方法が模索され、工夫が重ねられた。

結果として新しく多彩な模様染が開発され、後に友禅染と呼ばれる技法へとつながっていく。当初は、花鳥や風景などを円形に配して染めていたが、次第に模様が大きくなり、着物全体を染めるようになった。

技術のベースとなったのは、奈良時代の﨟纈 (ろうけち) 、描絵 (かきえ) 、室町時代の更紗 (さらさ) 、桃山時代の辻が花染、江戸時代の茶屋染などの染色技術。これまで京で培われてきた技を総合化し、染物の集大成とも言うべき技術への素地が作られていった。

◯友禅染の隆盛は17世紀末の「宮崎友禅」から。江戸時代以来、中核を成した手描き友禅 (本友禅)

進化を遂げたのは技術だけではなかった。図柄にも革新が起こる。

立役者は17世紀の終わり頃、京都で活躍した扇絵師の宮崎友禅。

宮崎友禅の描く新しい図柄は、京都堀川近辺の染色職人たちに刺激を与えた。これまで開発してきた染色技法を用いて、友禅の絵画的な図柄を取り入れた着物を展開、評判を呼んだ。

こうして京都で生まれた新しい染め物は、宮崎友禅の名をとっていつしか友禅染と呼ばれ一世を風靡し、江戸時代のファッショントレンドを一変させた。

友禅染の名が文献に初めて登場する衣装雛形本『源氏ひながた』 (1687年) には、「扇のみか小袖にもはやる友禅染」とあり、その流行が伺える。

一方、武士の裃から広まった京小紋の技術は17世紀頃にはほぼ完成。京友禅と影響し合いながら独自に発展していった。

◯明治時代、型友禅の誕生

江戸時代から明治時代初期までの京友禅は、手描友禅であったため、高価で庶民の手には届かなかった。友禅の大衆化の第一歩は、化学染料によってもたらされる。

また、染料にも新しい技術が取り込まれた。幕末頃、化学染料が輸入されるようになり明治になると急速に普及する。しかし、化学染料によって鮮やかな色が簡単に出せるようになったものの、対応する染色技術が追いついておらず、色落ちしやすく評判は芳しくない状況だった。

京都で染色工場を経営していた堀川新二郎は、この課題に取り組み、数年間の研究の末に作り上げた化学染料と糊とを混ぜた写糊 (うつしのり・または色糊) を開発。1881年、堀川は、写糊を使って当時人気を集めていた毛織物「モスリン」に友禅を染めることに成功する。

さらに、型紙と写糊を用いた染め技術を縮緬 (ちりめん) に応用して縮緬友禅を染めたのは、京都の広瀬治助であった。挿し友禅の名手であった広瀬は、手描友禅が高価で庶民が着られないことに疑問を抱いていた。

友禅を庶民に広めたいという志のもと、堀川に技術を学び、海外の技術を取り入れながら独自の研究を重ねた。はじめは技術的な未熟さもあり、「紛い友禅」などと呼ばれたこともあった。しかし最終的には、型紙を何枚も重ねて染めることによって手描きの模倣ではなく型独自の美しさを染め出す手法にたどり着いた。

こうして生まれた型友禅は、明治20年代には製作業者も急増し、盛んに染められるように。友禅染が庶民の手に広がっていくこととなった。

1976年、京友禅、京小紋は国の伝統的工芸品の指定を受け、現在も日本を代表する染物として愛されている。

現在の京友禅・京小紋

時代に合わせた新たな取り組みも登場している。

2016年に誕生した京友禅のブランド、SOO (ソマル) 。着物の需要が低下する中、「京友禅を手軽に手にとってもらいたい」との思いから、京友禅に携わる若手経営者4人が、会社の垣根を越えて立ち上げた。

京友禅の技術、美しさはそのままに、日々の暮らしで使えるめがね拭き「おふき」を開発。新たな京土産として注目を集めている。

SOO (ソマル) のおふき

<関連の読みもの>

京友禅の職人が作ったメガネ拭き ヒットの裏側。かわいい顔した、ほんまもん。
https://sunchi.jp/sunchilist/kyoto/71600

京都の「おふき」は京友禅のメガネ拭き。お土産になるSOO (ソマル) の一枚
https://sunchi.jp/sunchilist/kyoto/70929

SOO (ソマル) のおふき

関連する工芸品

西陣織:「西陣織とは。「京の着倒れ」を生み、全国の産地を育てた織物界のトップランナー、その技と歴史」
https://sunchi.jp/sunchilist/kyoto/117508

加賀友禅:「加賀友禅とは。“虫食いが美しい” 金沢生まれの染色技、歴史と今」
https://sunchi.jp/sunchilist/craft/116033

京友禅・京小紋のおさらい

◯素材:絹織物

◯主な産地:京都

◯キーパーソン:宮崎友禅

◯数字で見る京友禅・京小紋
・誕生:17世紀頃
・生産量:約11万反 (京友禅/含ろうけつ染:約10.4万反 ・ 京小紋:約6千反)

<参考>
京友禅協同組合連合会『京友禅京小紋生産量調査報告書』 (2019年)
京友禅協同組合連合会 連合会パンフレット
伝統的工芸品産業振興協会 監修『ポプラディア情報館 伝統工芸』ポプラ社 (2006年)
中江克己 著『日本の伝統染織辞典』東京堂出版 (2013年)
日本工芸会『日本伝統工芸 鑑賞の手引き』芸艸堂 (2006年)
三宅和歌子 著『日本の伝統的織りもの、染めもの』日東書院本社 (2013年)
京都友禅協同組合 公式サイト
加賀友禅 公式サイト
(以上サイトアクセス日: 2020年5月22日)

<協力>
京都友禅協同組合
https://kyo-yuzen.or.jp/
京友禅協同組合連合会
http://www.kyosenren.or.jp/

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