さんち 〜工芸と探訪〜

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わたしの一皿 浅漬けをそばちょこで

投稿日: 2019年5月31日
産地:
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風がぬるくなってきた。GWを終えてぼやぼやしているともう夏がやってくる。

前は同じ町の海寄りに住んでいて、ときおり強い海の香りを感じていたが、今は駅の近くに引っ越していろいろ便利にはなったのだけど、それがない。ちょっと残念。

さて、みんげい おくむらの奥村です。

今日はそばちょこの話。窯元に行くと、なんとなくそばちょこを買ってしまうもんだからそばちょこが無限に増えていく。そんな方、けっこういるんじゃないかな。わたしもそのクチです。

便利が良いのです。本来の使い方もするけど、酒も飲む。小鉢としても使う。

形もかわいらしいが、文字もよい。漢字にすると猪口。これはなんだかちょっと強そうだが、ひらがなでは「ちょこ」。

ちょこ、かわいいじゃないですか。へなちょこのちょこも同じ語源だそう。ますます愛らしい。

カップなどは色々と形にいじりようがあるが、そばちょこはもう、いじりきれない。用途を満たす、究極の形かもしれない。

すっと立ち上がるか、多少開きがあるか。そのぐらいしか変化をつけられない。

それであっても窯元ごとに随分個性があるのだから面白い。何百と集める人がいるのも、わかる気が。

 
島根県松江にある袖師窯(そでしがま)のそばちょこ

今日は島根県の松江にある袖師窯(そでしがま)のそばちょこを使った。民藝運動にも参加した、現在で5代目の窯元。

陶土や釉薬は昔ながらのものだが、形や雰囲気は今の暮らしによく合うもので、他の窯のうつわと組み合わせてもすっと馴染む。

こんな季節になってくると、酢の物や浅漬けを食べたい日が多く、そんな時は決まってそばちょこに盛り付ける。

十草(とくさ)と呼ばれる縦縞模様はとても単純でいさぎよい。しかし各地の陶工に言わせれば、このいさぎよい線を満足いくように描けるようになるまでにはなかなかの時間を要するそうだ。

青(呉須)と茶(鉄)、よく見れば茶色は線が太い。同じように筆で書いても、釉薬にも個性があるものだから、こんな風に焼成によって変化が出る。

上から下にすらりすらりと描いているのだが、筆を止めた跡もある。つくづくも手の仕事だ。

厚みも若干違う。茶のものの方が少し厚手だ。酒でも飲めば口当たりで明らかに違いがわかるだろう。

ろくろの仕事と型の仕事。どちらも面白いが、例えば写真を撮った時。

いくつものそばちょこを並べてもピシャっと形や雰囲気が整うのが型物。高さや厚み、個々にちょっとした表情の違いが出るのがろくろもの。

ホッとするうつわ、などと言われるものは多くの場合ろくろのもので、この微妙な個体差が織りなす表情をわれわれはなんとなく心地よく思うのだろう。もちろん今日のものは後者、ろくろの仕事。

ざるに盛ったきゅうり、ミョウガ、青じそ

うつわの話が長くなったが、今日は浅漬け。シソやミョウガがうれしい季節になってきました。

きゅうりもいい。生姜も使おう。いやいや、夏に近づいてきた感。

そう言えば、コンコンコンときゅうりを刻む頻度が上がってきた。冬場は中華の炒め物ぐらいでしか食べようとも思わないきゅうりだが、いよいよ活躍の季節がやってきた。今年もどうぞよろしくお願いします。

軽く塩もみしたきゅうり

軽く塩もみしたきゅうりと香りの野菜を合わせる。そのままのきゅうりもよいが、この塩もみしたきゅうりのちょっとだけ頼りなくなったような食感も大好きだ。

生姜と白ごま、それにごま油をちょこっと加えて。ごくごく単純な浅漬け。和製サラダと言ってもよいかもしれない。

そばちょこに盛り付けた浅漬け

こういう料理とも言えないような簡単な料理がたちまち雰囲気よく見えてしまった時に、あらためてうつわの力を感じる。

ぽりぽり、しゃりしゃり。食感の楽しさもいいし、この香りのさわやかさときたら。もうたまらん。香味野菜、バンザイ。ああ、ビールを開けよう。




奥村 忍 おくむら しのぶ
世界中の民藝や手仕事の器やガラス、生活道具などのwebショップ
「みんげい おくむら」店主。月の2/3は産地へ出向き、作り手と向き合い、
選んだものを取り扱う。どこにでも行き、なんでも食べる。
お酒と音楽と本が大好物。

みんげい おくむら
http://www.mingei-okumura.com


文・写真:奥村 忍
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