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三種の神器、勾玉をつくり続ける出雲の工房へ 出雲の玉人と巡る玉造

投稿日: 2019年2月23日
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こんにちは。さんち編集部の尾島可奈子です。

今回は、神話のふるさと、出雲のそばで今も作り続けられている「勾玉」のお話です。

前編では今も皇室や出雲大社に勾玉を献上している日本で唯一の作り手・めのやさんのご案内で、勾玉の産地・玉造のパワースポット、玉作湯神社を訪ねました。

ご案内いただいた株式会社めのや5代目の新宮寛人さん。神社の由緒を解説くださっています

ご案内いただいた株式会社めのや5代目の新宮寛人さん。神社の由緒を解説くださっています

自分だけでは気づけなかった神社の見どころに感激していましたが、

「すぐ近くに、昔の勾玉づくりの工房跡や地元の人も知らない勾玉の原石採掘跡が見学できる公園がありますから、見に行ってみましょう」

新宮さんによる勾玉づくりの産地・玉造の案内は次へ次へと続きます。

お参りの後は勾玉のふるさと・玉造をマニアック探訪

まず訪れたのは神社からも徒歩圏内の「出雲玉作史跡公園」。

一面芝生の公園内に、突如として舞台のようなものが現れます。これが勾玉を作っていた工房跡地。

勾玉を作っていた工房跡地。思った以上に広々としていました

また少し歩くと、今度は茅葺の小屋が。実際の工房を再現したものだそうです。

復元された工房も建っていました

さらに離れたところには、かつての工房内を見学できる施設が。広さ、見た目、内部と段階的に展示を分けて設置しているのが面白い。

床がやや斜めになって、四方のくぼみに作業中に使う水が流せるようになっています

床がやや斜めになって、四方のくぼみに作業中に使う水が流せるようになっています

「ここからほど近いところにも、実際に勾玉の原石を採掘していた跡を見られる公園があるんです。行ってみましょうか」

採掘跡、という響きに冒険の匂いを感じて、ぜひ!と新宮さんの車で山道を登ります。

向かった花仙山 (かせんざん) は、見た目はなだらかな里山といった雰囲気。

勾玉の原石であるめのうの中でも希少な青めのうがこの山で見つかったことで、玉造一帯は勾玉づくりの産地として発展していきました。

山の中腹で車を降り、まず目に飛び込んできたのが宍道湖を臨む絶景です。

地元の人も滅多に訪れないという、知る人ぞ知る「めのう公園」。花仙山の中腹にあります。展望台から宍道湖の絶景が

地元の人も滅多に訪れないという、知る人ぞ知る「めのう公園」。新宮さんの後ろをついていくと、何やらトンネルのような場所が見えてきました。

新宮さんの後ろをついていくと、何やらトンネルのような場所が見えてきました
ドキドキしながら、中へ

ドキドキしながら、中へ

この場所こそ、かつての採掘現場の跡。目をこらすと壁に青めのうのような鉱石が見えました。

トンネルの奥は、かつての採掘現場の跡。目をこらすと壁に青めのうのような鉱石が

入り口に戻ると、「採掘の時に出ためのうの破片がこの辺りにあるはずですよ」と新宮さん。「ほらそのあたりに」とトンネル脇の地面を指差します。

トンネル脇の地面を指差す新宮さん。「採掘の時に出ためのうの破片がこの辺りにあるはずですよ」

宝探し気分で地面を見ていくと…あ!

あ、あった!本物の青めのうです

あ、あった!本物の青めのうです

古墳・弥生時代から花仙山で始まっていためのうの採掘。伺ってきた勾玉づくりの歴史と自分のいる現在が、指先で繋がったような感じがしました。

宍道湖を臨む工房で、勾玉づくりの今に触れる

歴史にとっぷりと身を浸した後は、今、実際に行われている勾玉づくりの現場へ。

宍道湖ぞいに建つめのやさんのファクトリーショップ「いずも勾玉の里伝承館」を訪ねます。

ガラス張りの工房で、湖を背景に職人さんたちが手を動かす姿はまさに玉造の勾玉づくりを象徴しているようです。

ガラス張りの工房から、宍道湖が見渡せる

「めのう細工を行っているところは他の地域にもありますが、勾玉が作れる職人がいるのは、全国でもうちだけです」

その人数はわずか4人。今回は特別に工房内に入って、その勾玉づくりの様子を間近で見せていただきました。

始まりはこんなフラットな板状です

始まりはこんなフラットな板状です

大小さまざまな勾玉の原型。天然のものなので、色味に個体差が出て同じものはふたつとないそうです

大小さまざまな勾玉の原型。天然のものなので、色味に個体差が出て同じものはふたつとないそうです

大まかに形を切り出した後は、段階的に道具を変えながら研磨を繰り返します。摩擦熱を抑えるため片手で水を含ませながら、形と表面を整えていきます。

大まかに形を切り出した後は、段階的に道具を変えながら研磨を繰り返します。摩擦熱を抑えるため片手で水を含ませながら、形と表面を整えていきます。

穴を穿いているところ

穴を穿いているところ

使う道具も様々

使う道具も様々

だんだんと形になってきました

だんだんと形になってきました

研磨の板をより粒度の細かいものに変えて磨きをかけます

研磨の板をより粒度の細かいものに変えて磨きをかけます

磨いた部分がわずかに色が変わっているのがわかります

磨いた部分がわずかに色が変わっているのがわかります

5代目玉人の誇り

勾玉づくりゆかりの神社、実際の工房や採掘跡、現在のものづくりの現場と、新宮さんのご案内で玉造の勾玉づくりをめぐってきました。

改めていただいた名刺を拝見すると、新宮さんのお名前の上に「第五代玉人」と記されています。

新宮さんの名刺

「玉人 (ぎょくじん) って、勾玉などを作って献上する人の役職名なんです。祖父も父も、代々玉人を名乗ってきました。

三種の神器は、古代の日本文化の象徴的存在です。そのうちのひとつをやらせていただいているという自負を持って、勾玉づくりを続けています。

勾玉を知れば、そこから日本の古代史や神話が見えてきます。私たちが何を大切にして生きてきたのか。ご先祖様が思い考えていたことに思いをはせるきっかけになればいいなと思います。

他の伝統的な工芸品を作られている職人さんたちにも、ぜひ勾玉づくりを見に来て欲しいですね」

神話にも登場する、日本のものづくりの原点のひとつ。たしかに私も、今回の取材を通して今までと違った視点で三種の神器や神話の世界に親しめました。

出雲を旅するときは、ぜひ一緒に勾玉のふるさと・玉造も訪ねてみてはいかがでしょうか。

<取材協力>
株式会社めのや
https://www.magatama-sato.com/(いずもまがたまの里伝承館)

文・写真:尾島可奈子 ※こちらは、2017年10月25日の記事を再編集して公開しました。
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