さんち 〜工芸と探訪〜

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産地で晩酌

21時に開店するちゃんぽんの名店。武雄のお酒の〆は「開泉食堂」で

投稿日: 2018年2月1日
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突然ですがみなさん、お酒の締めの定番と言ったら何でしょうか?きっと、飲んだ後に何故か食べたくなる、ラーメンを思い浮かべる方が多いはず。

一方で、同じ質問を長崎や佐賀の方にすると、「ちゃんぽん」と答える人も多いそうです。

それもそのはず。長崎県だけでも1000軒以上のお店で食べることができると言われるほど、ちゃんぽんは肥前地区に郷土料理として根付いています。日本が鎖国していた時代に唯一開港地として外国との接点となっていた長崎と、その隣りで文化が流れ入ってきた佐賀では、食にも異国からの影響が色濃く感じられます。

そこで本日の「産地で晩酌」はちゃんぽん。佐賀県武雄市にある、21時を過ぎないと開店しない知る人ぞ知る名店にて、本場のちゃんぽんを味わってきました。

日本と中国、山と海の味が「ちゃんぽん」された歴史

さすが本場と言ったところで、長崎にはちゃんぽんの歴史に触れることができる「ちゃんぽんミュージアム」があります。そこでの紹介によると、ちゃんぽんのルーツは福建料理の『湯肉絲麺(とんにいしいめん)』にあり、福建省から長崎に渡った四海楼の初代陳平順が日本風にアレンジし、1899年にちゃんぽんとして考案されたとあります。

長崎に来ていた中国人留学生に向けて、野菜くずや肉の切れ端を使った安くて美味しい栄養満点の麺料理として、当時から親しまれていました。山の幸にも海の幸にも恵まれた長崎だからこそつくることができた、日本の味と中国の味が融合した郷土料理なのです。

元々ちゃんぽんには「様々なものを混ぜること」という意味があり、江戸時代の洒落本にも登場しています。1822年の洒落本『花街鑑(サトカガミ)』に「芸者の滑稽、チリツンテン、ちゃんぽんの大さわぎ」とあり、その意味が転じて、2種類以上のものをごちゃ混ぜにすることを指す言葉として、歌舞伎でも使われている言葉です。ごちゃ混ぜに入ったちゃんぽんに相応しい名前ですね。

ちゃんぽんはその後長崎の名物料理となり、隣の佐賀をはじめ、今では全国各地に広まっています。

赤提灯の深夜食堂、その名は開泉食堂

ライトアップで浮かび上がる、武雄温泉の楼門。

ライトアップで浮かび上がる、武雄温泉の楼門。

佐賀県の西部にある武雄市の中心には、1300年の歴史を持つ武雄温泉があります。重要文化財の楼門を眺めつつ、1日の疲れと汗を流し、温泉から出て時計を見るともう21時。武雄温泉のほど近くにあるという、地元の人からこっそりと教えてもらった、美味しいちゃんぽんを出す名店を目指します。

ペコペコのお腹に急かされながら、道に迷いつつ細い路地を1本入ったところに、静かに灯る赤提灯を見つけることができました。よほど注意していないと見逃しそうなこのお店こそ、知る人ぞ知る開泉食堂です。

武雄市のちゃんぽんの穴場、開泉食堂

1人で切り盛りする店主に早速ちゃんぽんを頼むと、奥から食欲を刺激するジュウジュウと具材を炒める音が聞こえてきます。

今か今かと待つこと10分、三川内焼に代表される、唐子絵のどんぶりに入った熱々のちゃんぽんが出てきました。人参、キャベツ、もやし、豚肉、なると等々。風味や食感の違いも楽しい、具沢山のちゃんぽんです。

具材の旨味が複雑に中華スープに溶け出し、太くて歯切れの良い麺に絡みます。具材もスープも味付けが濃いめにしっかりとされていて、最後の一滴まで飲み干したくなる極上の一品。野菜もお肉も摂ることができ、かつての中国人留学生がこれを食べて元気を出していたのもうなずけます。

噂によるとメニューに載っていない裏メニュー「皿うどん」があるかないとか。武雄温泉に入った後に一杯飲んで時間を潰し、ぜひお酒の締めを開泉食堂でお召し上がりください。



ここでいただけます

開泉食堂
佐賀県武雄市武雄町富岡7809




文:庄司賢吾
写真:菅井俊之




※2017年1月21日の記事を再編集して掲載しています
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