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産地で晩酌

飛騨牛に朴葉味噌、だけじゃない。飛騨高山「郷土料理 京や」で味わう冬

投稿日: 2017年12月15日
産地:
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こんにちは。さんち編集部の尾島可奈子です。

旅先で味わいたいのはやはりその土地ならではの料理です。あとは地酒と地の器などがそろえば、もうこの上なく。産地で晩酌、今夜は飛騨高山で一杯。

高山の夜は早い。

ひっそりとした通り

昼間は観光客で賑わっていた目抜き通りも、日に日に早くなる日暮れとともにひっそりとして来ます。

そんな中、どこか一杯立ち寄れるところはないかしらとそぞろ歩いていると、闇に浮かび上がる大きなシルエット。

京やの外観

暗い中でも建物の立派さがうかがえます。脇の看板には煌々と「京や」の文字。

京や、と浮かび上がる看板
明かりを目指していくと、いいお店を見つけた予感です

明かりを目指していくと、いいお店を見つけた予感です

誘われるようにのれんをくぐると「いらっしゃい」の明るい声とともに、

「席はテーブルとお座敷と、焼き物をするなら囲炉裏席がありますがどちらがいいですか?」

と尋ねられました。

中をちらりと覗くと囲炉裏席は網の上で食材を焼くスタイル。先客がいい匂いをさせているのはきっと、かの有名な飛騨牛でしょう。網の下の炭火が、とても暖かそうです。

囲炉裏席

「囲炉裏席でお願いします」と答えて席に落ち着くと、店内は高い天井、立派な梁。

わざわざ新潟から移築してきたという古民家を改築した店内は、内装もどこか懐かしさを感じさせます。

内装

早速くつろいだ気持ちになって、高山にきたらやっぱり食べたい、飛騨牛と朴葉味噌をまず注文。もちろん地酒も忘れません。

まずは定番の郷土料理で一杯

お店自慢の、A5ランクの飛騨牛を網焼きで。飛騨牛は「溶けるような口当たりもありつつ、しっかりと肉らしい食べ応えがあることが良さ」だそうです

お店自慢の、A5ランクの飛騨牛を網焼きで。飛騨牛は「溶けるような口当たりもありつつ、しっかりと肉らしい食べ応えがあることが良さ」だそうです

おすすめをお願いした地酒は、地元でも有名だという平瀬酒造の「久寿玉 (くすだま) 」

おすすめをお願いした地酒は、地元でも有名だという平瀬酒造の「久寿玉 (くすだま) 」

待ってました、朴葉味噌!

待ってました、朴葉味噌!

秋に一斉に葉を落とすというホオノキ。朴葉味噌は、その葉の上で味噌を炙り、葉の香りを味噌に移していただく飛騨伝統の郷土食です。

しいたけや刻みネギと一緒に炙ると、風味が一段と豊かになって、ご飯や晩酌のおともに最高です。

天然の器でいただく土地の恵み。炭火と地酒で体も温まって大満足、ですが今日の晩酌はこれでは終わらなかった。

店内のお品書きにふと目をやると、

店内のお品書き

漬物ステーキ‥‥こもどうふ‥‥?見慣れない料理名ばかりです。

「雪の多い飛騨は冬に野菜が採れなくなるので、どの家も漬物にしてあるんですね。でもそればっかりだと冷たいので、玉子でとじて焼いたものが漬物ステーキです」

教えてくれたのはご両親からお店を受け継いだ2代目の西村直樹さん。

そう、「京や」さんは飛騨牛や朴葉味噌だけにとどまらない、飛騨高山伝統のさまざまな郷土料理を味わえるお店なのです。

漬物ステーキ

冷めないうちに食べてね、の言葉通り出来立てを急いでほおばると、アツアツの卵とじの中にシャキシャキとした白菜の歯ごたえ。あっさりしているので、濃いめの朴葉味噌と好相性です

冷めないうちに食べてね、の言葉通り出来立てを急いでほおばると、アツアツの卵とじの中にシャキシャキとした白菜の歯ごたえ。あっさりしているので、濃いめの朴葉味噌と好相性です

ころいも

間引いた芋を「もったいないから」と保存し、皮ごと甘辛く炊いたもの。一口サイズでついついお箸が進みます

間引いた芋をもったいないからと保存し、皮ごと甘辛く炊いたもの。一口サイズでついついお箸が進みます

こもどうふ

飛騨のお豆腐屋さんやスーパーでは、すまきにして水分を抜いた状態のお豆腐が売られているそうです。それを家庭ごとに醤油や出汁で味付けしたものが「こもどうふ」。冠婚葬祭やお正月のおせちにも登場するそう

飛騨のお豆腐屋さんやスーパーでは、すまきにして水分を抜いた状態のお豆腐が売られているそうです。それを家庭ごとに醤油や出汁で味付けしたものが「こもどうふ」。冠婚葬祭やお正月のおせちにも登場するそう

ネギ焼き

あれこれと頼んだ中で一番心を打たれたのが、実は「ネギ焼き」。

お肉の付け合わせ程度に考えていたのですが、私が炭火でぼちぼちと焼いていると、

「ちょっと、焼き方を教えようかね」

焼き方指南

このお店の初代女将さん、西村さんのお母さんが声をかけてくれました。

「このネギは霜が降りないと採れないネギなの。分厚いから、芯と外側は別々に焼くのよ」

そう言って、程よく外側が焼けたネギから、器用に青々とした芯の部分をつるん、と網の上に押し出しました。

芯を押し出しているところ

ネギの名は飛騨ネギ。この地域で11月から2月頃までしか採れない季節限定の郷土野菜です。

コロコロ転がしながらしっかり焼き目がついたところで、生姜醤油で食べる。

いい具合に焼き目が付いてきました

いい具合に焼き目が付いてきました

「この芯の部分が、バカにならんのよ」

どうぞ、と女将さん

どうぞ、と女将さん

うまい!

外側の白い部分と全く味が違います。とろんとした甘みのあとに、薬膳のような、鼻に抜けるすっとした後味。食べるそばから体がポカポカと温まるようです。

めくるめく郷土料理の世界に夢中になっていると、耳に異国の言葉が飛び込んできます。しかもドアが開くたびに、違う言葉のよう。

店員さんも慣れた様子で相手ごとに挨拶を変えて応対します。

外国人観光客からも人気の高い飛騨高山。この地ならではの料理を味わえる「京や」さんは、国境を越えて愛されているようです。

「これからもっと賑やかになるよ、ここはどこの国だって思うくらい」

ネギを転がしながら、お母さんが冗談めかして笑いました。

飛騨高山の夜は長い。

気になる郷土料理がまだあって、なかなか席を立つ気になれません。

<取材協力>
飛騨高山郷土料理 京や
岐阜県高山氏大新町1-77
0577-34-7660
http://www.kyoya-hida.jp/

文・写真:尾島可奈子
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