さんち 〜工芸と探訪〜

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産地の工芸品

長崎

波佐見

はさみやき 波佐見焼

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概要

波佐見焼とは、長崎県の中央北部に位置する波佐見町付近でつくられる陶磁器のことである。波佐見町は、長崎県佐世保市、川棚町、佐賀県有田町、武雄市、嬉野市と隣接する県境の町で、中央は平野部、周囲は小高い山々に囲まれた盆地地形をなし、とくに南東部の山々からは磁器の元となる陶石が産出される。

波佐見焼の特徴は、白磁の美しさと、呉須(藍色)で絵付けされた繊細な染付の技術。時代に合わせて改良を続けながら、庶民の器としてさまざまな日用食器が誕生した。いまも長崎県最大の窯業地であり、日用和食器の出荷額は全国3位を誇る。

唐草模様を筆で簡単に描いた「くらわんか碗」。商人が小舟で近づき「酒食らわんか餅食らわんか」と囃しながら食事などを売ったことが由来

1790年に初めて作られ、1820年代から盛んに生産されるようになった、酒や醤油の輸出用の瓶。ポルトガル語で仲介人を意味する「コンプラドール」が由来

現代の波佐見焼

現在ではさまざまなデザインの波佐見焼が作られている

波佐見焼メーカー白山陶器のG型しょうゆさし。1958年から製造を続けるロングセラー商品

波佐見焼メーカー白山陶器のG型しょうゆさし。1958年から製造を続けるロングセラー商品

歴史

波佐見町の前身である波佐見村は、1570年代頃に日本最初のキリシタン大名として著名な大村純忠の領地となり、その後江戸期を通じて大村藩に属した。なお、江戸期の波佐見村と現代の波佐見町はほぼどう領域である。

波佐見村では1500年代後半に陶器生産を開始した。当時、磁器をつくる技術はまだ日本にはなかった。転機は豊臣秀吉による朝鮮出兵、文禄・慶長の役 (1592~1598年)。この戦いは別名「焼き物戦争」とも呼ばれ、各地の大名たちが、焼き物の高い技術を得るために朝鮮からたくさんの陶工たちを連れ帰った。大村藩も例外ではなく、朝鮮から連れ帰った陶工たちと波佐見町村木の畑ノ原、古皿屋、山似田の3か所に連房式階段状登窯を築き、1599(慶長4)年、焼き物づくりを始めた。これが波佐見焼の始まりである。

江戸時代の中ごろには、波佐見村では巨大な登り窯がいくつも築かれた。はじめは施釉陶器の生産が中心だったが村内で磁器の原料である陶石が採掘されるようになり、しだいに染付と青磁を中心とする磁器へ移行。ついには大村藩の特産品となり、江戸後期には染付の生産量が日本一に。こうして波佐見焼は、染付・青 磁ともに大生産地に発展していった。

17世紀半ばには、中国で起きた内乱の影響で、中国産の焼き物の輸出が中断。その代わりとして波佐見焼を含む肥前の焼き物に白羽の矢が立ち、東南アジアを中心に海外に輸出され、波佐見焼は窯の数も職人の数も一気に増えていった。

しかし、1690年ごろに中国の内乱が収まると、波佐見焼の海外輸出量は減少。そこから、国内向けの日用食器を量産していくようになる。その一つ、唐草模様を筆で簡単に描いた「くらわんか碗」は丈夫で壊れにくく、波佐見焼の代表となった。波佐見焼の食器を通して庶民の食文化は大きく変わり、焼き物が暮らしに身近なものになっていった。

明治以降は鉄道の発達により、出荷駅がある有田から全国に流通していたため、波佐見と有田、2つの産地の磁器は合わせて「有田焼」としてその名を全国に広めていく。こうして2つの産地は売上を増やし続け、1980年後半のバブル期に最盛を迎えることになるが、2000年頃に問題となった産地偽装問題をきっかけに、「波佐見焼」と厳密な生産地表記が必要となった。

「有田焼」に比べ、当時は知名度が低い波佐見焼であったが、製陶所があった「西の原」エリアを観光スポットとして県内外への知名度アップをはかったり、産地特有のブランドを立ち上げたりなど、独自の取り組みで現在では全国各地から大きな注目を集めている。

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