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愛しの純喫茶

愛しの純喫茶〜浜松編〜 こんどうコーヒー

投稿日: 2017年7月11日
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こんにちは。ライターの小俣です。
旅の途中でちょっと一息つきたい時、みなさんはどこに行きますか?私が選ぶのは、どんな地方にも必ずある老舗の喫茶店。お店の中だけ時間が止まったようなレトロな店内に、煙草がもくもく。懐かしのメニューと味のある店主が迎えてくれる純喫茶は密かな旅の楽しみです。旅の途中で訪れた、思わず愛おしくなってしまう純喫茶を紹介する「愛しの純喫茶」。第7回目は、浜松の商店街で昭和26年から続く「こんどうコーヒー」です。

「こんどうコーヒー」は、JR浜松駅から徒歩5分ほどの場所、千歳町( ちとせちょう )にあります。千歳町は、明治期からの近代化の際に多くの料理店や酒楼とともに一大花街を形成した地域。戦後も、老舗料亭、割烹料亭をはじめ飲食店が軒を連ねます。一時期は同じ通りに喫茶店だけで7店もあったそうですが、時は移り変わり、昔ながらのお店はわずかになりました。そんな中、「こんどうコーヒー」は親子孫3代で受け継いでいるお店なのだそう。

お店の外観。窓ごしに購入できる昔ながらのタバコ販売も続けていて、さっそく懐かしい雰囲気です

店内は、黄色みのある照明で照らされていて、子どもの頃に訪れた洋風な親戚のおうちを思い出しました。地元密着のお店と聞くと一見さんにはハードルが高くも感じますが、不思議と落ち着く居心地の良い空間です。

レトロなランプシェードや昭和の雰囲気漂う壁紙に嬉しくなります

壁には柔らかいひらがなで書かれた「こんどう」の名前が

カウンター席のみの店内。この日は2代目にあたるママさんが、お一人で切り盛りされていました。ときおり鳴り響く「ピンポーン」というチャイムはタバコの窓口の呼び出しの音。「はいはーい!」と向かい、顔見知りのお客さんと和やかに世間話をしている声が聞こえてきます。

コーヒー缶や喫茶店ならではの調味料などが並ぶ棚

親子3代で受け継ぐお店は、お客さんも代々常連さんという方が多いのだとか。「昨日は定休日だったんだけれど、お客さんから電話がかかってきて『今日もコーヒー飲ませてほしい』って言われて15時に開けたのよ」と笑いながら話してくれたママさん。みなさん毎日このお店でコーヒーを飲むことがあたりまえの習慣になっているのですね。地元で愛されている様子がうかがえました。

カウンターごしに気さくなママさんとお話ししながらくつろぎます

そんな地元の方々に長年愛されるコーヒーを私も注文。一杯ずつていねいにネルドリップで淹れていただきます。

創業された先代のおじいさまは洋菓子の修行を積んだケーキ職人。戦後の食糧難の時期にケーキは贅沢品だったので、時流に合わせてコーヒーや食事も提供できる喫茶店を始めたのだそう。先代が亡くなった現在は、お孫さんがお菓子作りも引き継いで作っているということでした。せっかくなので、コーヒーと一緒にアップルパイもいただきました。

手作りのアップルパイ。素朴で優しい味わいでした

カウンター席でのママさんとの楽しいひととき。この日は、浜松っ子の大切なお祭り「浜松まつり」の日だったので、地元の人しか知らない見所を教えていただいたり、地域の歴史や地元のエピソードをたくさん伺えて、お祭りをより身近に感じることができました。その町の体温が感じられる純喫茶。お店をあとにする頃には、私も昔からこの町に住んでいたかのような気持ちになっていました。

こんどうコーヒー
静岡県浜松市中区千歳町14
053-455-1936

文・写真:小俣荘子
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