さんち 〜工芸と探訪〜

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わたしの一皿「強戸窯」強そうな窯が生まれました

投稿日: 2019年10月3日
産地: 群馬
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みんげい おくむらの奥村さんが選ぶ、群馬「強戸窯」の一皿

奄美大島に滞在しています。自炊の宿に家族でちょっとのんびり1週間の滞在なので、うつわも背負ってやってまいりました。みんげい おくむらの奥村です。

ふだんとちがう食材がたくさんあって、ふだん当たり前のものが当たり前でなかったり。ここらへんのちがいを楽しみながら食事をつくっていこう。

今日は仕事のこぼれ話を。仕事柄、「独立」のシーンに出会う。主に焼き物の窯で。ふだんは窯主とばかり話をしているわけだけど、何年も何度も通っていれば修行をしている人たちのことは自然に知るし、向こうも僕のことを知るわけです。時にはおしゃべりもするし、時には窯主とともにご飯に行ったり、も。

独立の際、「窯ができたら連絡します」なんて、みんな言ってくれるが実際に連絡をくれるのは半分もない。いろんな事情があるんだろうけど、人づてに窯ができたとか、ものが出ている、とか聞くのはけっこうさみしいもんだ。

今日はそんな中で義理堅く連絡をくれた窯。群馬県の強戸窯(ごうどがま)のうつわを使った。窯主の島村さんがろくろを挽いたものは修行時代から扱っていたので、独立を楽しみにしていた。

しかし、ここもなかなか連絡がこなかったのだ。場所も見つかったと聞いていたし、もううちには連絡がないのかな、と思っていたら連絡がきた。うれしいもんです。薪で焚く登り窯を作るのにももちろん時間はかかったが、土選び、釉薬選び、いつのまにか子供が増えていたり‥‥とにかく、時間が掛かったのだそうだ。

時間は掛かったけれども、幸運なことに登り窯は初窯からよい調子で温度が上がるそうで何よりなことだ。

修行地を離れて窯を起こす、というのはまったくゼロからのスタートになる。そこでどんなものを作るのか、作っていきたいのか。応援したい気持ちはもちろんあるが、はたしてうちのお店で扱うことがお互いにとって良いのかどうか。そんなことを時間をかけて話し、考えていく。なのでこちらの窯はうちでは正式な取り扱いとしてみなさんにお披露目はしていない。ここで初公開となる。

群馬県強戸窯のうつわに盛り付けたサラダ

料理に戻ろう。今回は奄美の素材を盛り込んで簡単なサラダに。色がいいでしょう。自分でも納得の色合わせです。あ、味ももちろんのこと。

奄美大島の素材ハンダマをメインに

ハンダマという奄美ではスタンダードな野菜をメインに。沖縄でも九州南部でも食べますね。緑と紫の葉が美しい。熱を加えると少しぬるっとしてそれまたおいしい。炒め物にしてもいいんですよ、これ。

そこにこれまた地元で取れた若い春菊。鹿児島ではよく見られる金柑、島で作られる固めの豆腐。東京あたりでこれをやろうと思ったらなかなか食材集めも大変ですが、ここでやるならとっても簡単。おまけに季節の地元のものだから安くておいしいんだもの。言うことなし。

調理風景

ハンダマと金柑はお行儀よく包丁で切ったけど、春菊と豆腐は手ちぎりです。オリーブオイルがよく絡むから。いや、面倒だから。どっちもです。

ちなみにクセのある野菜と柑橘のサラダはよくやります。野菜は生よりも温野菜の方が圧倒的に好きだけど、これはもりもり生野菜と果物が食べられるので。

群馬県強戸窯のうつわ

今回使った皿はこちら。2018年の窯焚きのもの。うつわの形は修行時代に挽いていたものに近いけれど、総じて新しい顔になっている。これからもどんどんと新しい顔が生み出されていくのかな。

5年、10年後の強戸窯のうつわはどんなものになっているだろうか。強戸窯の強戸(ごうど)は地名。この土地を感じられるようなうつわが生まれる、地域に愛され、地域を広める、そんな窯元になっていくのだろうか。次の訪問も楽しみだ。

奥村 忍 おくむら しのぶ
世界中の民藝や手仕事の器やガラス、生活道具などのwebショップ
「みんげい おくむら」店主。月の2/3は産地へ出向き、作り手と向き合い、
選んだものを取り扱う。どこにでも行き、なんでも食べる。
お酒と音楽と本が大好物。

みんげい おくむら
http://www.mingei-okumura.com


文・写真:奥村 忍 *こちらは2019年5月14日の記事を再編集して公開しました。食材の彩りはもちろん、うつわとのバランスが美しいですね。
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