さんち 〜工芸と探訪〜

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ここでしか買えない、ローカル良品

こどもじゃなくても欲しい。美濃和紙の「のぼり鯉」

投稿日: 2019年1月15日
産地: 岐阜
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こんにちは。細萱久美です。現在フリーで、メーカーさんのモノづくりや販路開拓などのお手伝いをしています。

仕事で地方に行くこともありますが、プライベートであちこち出歩くことも多く、インプットと自分に言い訳を。密やかにInstagramで、モノや美味しいモノをアップしています。

職業柄か、店情報に詳しいと思われることが多いのですが、実際は新しい店を開拓するより、気に入った店をリピートするタイプなので、最新スポットなどはそんなに詳しくありません。

飲食関係で、たまに行きたくなる店が集中しているのは、住んでる奈良でもなく、出身の東京でもなく、意外な場所で岐阜市が頭に浮かびます。

岐阜市にはそれこそ一年に一度は行っている気がしますが、そのきっかけになったのは、先月のさんち記事でもご紹介したまっちんと、まっちんの仕事パートナーの山本慎一郎さんの拠点で、いつも案内してもらえるおかげ。

山本さんは、山本佐太郎商店四代目として岐阜市出身なこともあり、またいつでも明るく誰しもに頼られる存在で、私もなにかと頼りにしている岐阜の兄貴(年下!)なのです。街を歩くと必ず何人もの知り合いに会うという岐阜の有名人。

山本さんは代々続く食品問屋を受け継ぎ、また「大地のおやつ」の製造販売者です。美味しい店にも詳しく、忙しいのを知りつつも、いつも岐阜案内を強請っています。

岐阜市にはオーナーの個性やこだわりが突き抜けた名店が多く、私のリピート率が高い「ティールーム」「たい焼き&かき氷屋」「和菓子屋」「うどん屋」「BAR」・・と挙げたら結構なことに。なので毎度食い倒れの旅です。

山本兄貴と共に、岐阜の名店と個性派オーナーを紹介する本を作りたい!と本気で思ったりします。

つい岐阜愛が強くて前置きが長くなりましたが、今回取り上げるのは、その岐阜市にある「のぼり鯉」の工房です。岐阜を代表する伝統工芸品の一つで、美濃和紙で作られた、いわゆる鯉のぼりです。

岐阜市東材木町「小原屋商店」の「のぼり鯉」

その歴史は古く、徳川吉宗の享保の改革の時代。布は贅沢ゆえ、紙で作るようにお触れが出たそうな。

「のぼり鯉」とは、子供の健やかな成長を願って付けられた名称で、現在製造しているのは、岐阜市東材木町の「小原屋商店」わずか1軒のみ。

十三代続く小原屋の創業はさらに古く、織田信長が岐阜に入城して少し後だと言うから驚きです。

のぼり鯉をつくる和紙
先代の制作風景写真

先代の制作風景写真が飾られている

のぼり鯉は、完全なる手作業で作られ、部屋の中に飾れる小さなサイズもあります。

手漉き和紙を手で揉んで、手描きで彩色します。揉むことで柔らかくなり、立体に形作れるのと、シワによるぼかしが活かされ躍動感のある色彩に。

紙は「油紙」と言う、油を塗った防水紙なので丈夫で長持ち、経年変化で深みが増しそうです。色使いはくっきり、はっきり黒・赤・青・白・黄の五行説の5色。「こどもの日」の元気の象徴としてもぴったりな力強さを感じます。

岐阜市東材木町「小原屋商店」の「のぼり鯉」

十三代目の河合俊和さんは元々建築家と言う異色の職人さんで、今でも兼業にてお忙しくされています。それもあって、百貨店催事などのお話も全て断り、小上がり座敷のある小原屋商店のみでの販売だとか。

私もここに来て初めて知った工芸品です。奥さまがいらっしゃればお茶を出して頂けるかも。

岐阜のことや工芸のことなど、ゆっくりお話しながら鯉を選ぶ時間も贅沢です。 店頭から作業場が拝見出来るので、製作途中の鯉が見れる場合も。

岐阜市東材木町「小原屋商店」の「のぼり鯉」
岐阜市東材木町「小原屋商店」の「のぼり鯉」

サイズはどこでも飾りやすい35センチメートル程度のコンパクトな鯉から、70センチメートルくらいのダイナミックに飾れる鯉、稚児の乗ったタイプもあります。

もはやこどもの日とは関係なく、モノの魅力に参ってオーダーしました。

今日の時代に、ここまでの手仕事は本当に貴重ですし、立派な伝統工芸品ではありますが、当時は今でいう「民藝」だったのでは。

柳宗悦の言う民藝は「実用品」と言う定義もあり、厳密を言い出すと難しいですが、「民衆的工藝」とか「民俗性・郷土色を反映し、素朴な味を持つ」モノと言えば、民藝でもしっくりきます。男子のいる庶民の家に、当たり前に飾られていたのではないかと想像します。

五月の室礼ではありますが、この魅力に、我が家の趣味部屋の定番仲間入りをするであろうと、届くのを待ちわびています。

もし端午の節句までに欲しい方は、お早めに相談することをお勧めします。

<取材協力>
小原屋商店
岐阜県岐阜市東材木町32




細萱久美 ほそがやくみ

元中川政七商店バイヤー
2018年独立

東京出身。お茶の商社を経て、工芸の業界に。
お茶も工芸も、好きがきっかけです。
好きで言えば、旅先で地元のものづくり、美味しい食事、
美味しいパン屋、猫に出会えると幸せです。
断捨離をしつつ、買物もする今日この頃。
素敵な工芸を紹介したいと思います。

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文・写真:細萱久美
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