さんち 〜工芸と探訪〜

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色の名

ピンクを見て「桜」を思う日の読みもの

投稿日: 2018年3月25日
産地: 福岡
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きっぱりとした晒の白や漆塗りの深い赤のように、日用の道具の中には、その素材、製法だからこそ表せる美しい色があります。

その色はどうやって生み出されるのか?なぜその色なのか?この連載では、色から見えてくる物語を読み解きます。

花の色に思うもの

花の色は うつりにけりな いたづらに
わがみよにふる ながめせしまに

小野小町が詠んだ歌として有名な一句です。

古い歌で「花」といえば桜のこと。咲き誇る桜がいつの間にか色あせてしまう様を、自身の美貌の衰えと重ねて詠んだとも言われています。

毎年その開花を我がことのように喜び、その散り際に人生まで重ねてしまう。

桜がこれほどまでに日本で愛されてきたのは、桜の開花を1年の農耕がはじまる予兆として人々が重んじてきたためとも言われています。

サクラの語源は、「さ」が田畑の神様、「くら」が神様が鎮座する場所。「桜の木の下で宴を開くことが、自然と農耕の始まるこの季節の行事になっていったんだと思います」と、以前桜についてお話を伺ったプラントハンターの西畠清順さんは教えてくれました。

桜の楽しみ方は、お花見だけに終わりません。園芸として自ら育てたり、歌に詠んだり描いたり、塩漬けにして食したり。そして小野小町も「花の色は」と詠んだように、その淡いピンク色をこよなく愛してきました。

従来は桜色をつくるために紅花や茜が用いられてきましたが、福岡にある工房夢細工さんは日本で初めて、原材料に桜のみを使った桜染めに成功。

「さくら初め」と名付けて、様々な美しい桜色の染めものを生み出しています。

夢細工さんのさくら初めの布

実は英語でpinkといえば、ナデシコ属の花を指します。

カーネーションもそのひとつ。薄桃色に染まる糸や生地を見て「桜色」と思う自分は、やっぱり日本人だなぁと思います。

<写真提供>
株式会社工房夢細工

文:尾島可奈子 *2017年4月11日の記事を再編集して掲載しています。
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