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子どもが「ものづくり」を好きになる。書店員がおすすめする工芸の絵本5選 クレヨンハウスのスタッフが選ぶ工芸に触れる絵本

投稿日: 2019年5月15日
産地: 読みもの
編集:
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作り手にも読んでほしい一冊『満月をまって』

最後にご紹介いただいたのは、かご職人の父親と息子の物語『満月をまって』。

『満月をまって』(文:メアリー・リン・レイ、絵:バーバラ・クーニー、訳:掛川恭子、あすなろ書房)

『満月をまって』(文:メアリー・リン・レイ、絵:バーバラ・クーニー、訳:掛川恭子、あすなろ書房)

「作り手の想いが、どのように次の世代へ繋がっていくのか。時代の流れの中で失われ、それでも変わらないものは何なのか、読むたびに深い作品だなと思います」

 もうすぐ満月になる。
 とうさんがつくるかごみたいに、まんまるい満月に。

そんな冒頭の一文が大好きだと言う馬場さん。

「お父さんが作るかごへの憧れと、喜びと誇りが感じられて、ぐっときます」

『満月をまって』(文:メアリー・リン・レイ、絵:バーバラ・クーニー、訳:掛川恭子、あすなろ書房)

『満月をまって』(文:メアリー・リン・レイ、絵:バーバラ・クーニー、訳:掛川恭子、あすなろ書房)

今から100年ほど前のアメリカ合衆国の実話がもとになったお話。

満月になると、手作りのかごを売りに行く、父。9歳になって、はじめて一緒に出かけることを許された、少年。

ところが、初めて見る都会はまぶしく、父さんの作るかごもどこか古ぼけて見えてしまう‥‥。

読んでいて胸がいっぱいになりました。

「父親と同じかご職人を目指す息子の視点で語られた物語から、手作りのものに対する愛情と情熱を感じます。

時代の移り変わりの中で、手作りのかごがプラスチックやビニールに代わっていく。そんな時代の流れも写しとった作品です」

『満月をまって』(文:メアリー・リン・レイ、絵:バーバラ・クーニー、訳:掛川恭子、あすなろ書房)

『満月をまって』(文:メアリー・リン・レイ、絵:バーバラ・クーニー、訳:掛川恭子、あすなろ書房)

「森の恵みから生まれてくる、ひとつの“かご”が丁寧に描かれていて、職人たちの自然との対話や、ものづくりへの情熱を感じられる本だと思います」

作り手にも染み入る本ですね。

「工芸品を作る職人さんだからこそ、通じることがあるかもしれません。読む人によって感じ方が違うのも、絵本の魅力だと思います」

親子三代にわたって親しまれる本屋に

2018年12月に創業43年を迎えたクレヨンハウス。

作家の落合恵子さんが、文化放送アナウンサー時代、海外で目にした書店に憧れ、日本にも座り読みのできる本屋さんを作りたいという思いから始まりました。

現在は本だけでなく、オーガニック食材をつかったレストランや野菜市場、安心安全な木製玩具のフロアや、オーガニックコスメやコットンを扱うミズ・クレヨンハウスなどもあり、子どもや女性の視点から文化を発信しています。

クレヨンハウス

親子三世代にわたってお店を訪れる方も多いそうです。

「子どもの頃に読んだ本に再会される方や、お子さんに読んであげていた絵本をお孫さんに買っていかれるお客さまなど、日々、絵本が世代を超えて読み継がれている様子を感じます」

創業当時から使われているテーブル。子どもたちが絵本を読んで楽しむ姿を見つめてきた

創業当時から使われているテーブル。子どもたちが絵本を読んで楽しむ姿を見つめてきた

常備している子どもの本はなんと5万冊。どのように選定しているんでしょうか?

「毎月、スタッフ全員で、その月に出版された新刊絵本を読む“新刊会議”をしています。子どもの本だけでも毎月300冊ぐらい新刊が出版されていますが、全部をスタッフが読み込んで、その中から、お店に置く本を選んでいます」

毎月300冊!大変な作業ですね。

「子どもが読んで、純粋に心踊るもの、面白いなと感じられるもの、大人の目にも耐えうるような文学性やアート性の高いものを選んでいます。

クレヨンハウス

長く読み継がれている本もたくさんありますが、新しい作家さんが生まれてこないと、子どもの本の文化は育っていかないと思っているので、新しい作品や作家に出会える“新刊会議”は楽しみでもありますね」

大切なのは親子で楽しむ時間

「絵本に年齢制限はありません」と言う馬場さん。

「1冊の絵本でも、その時々によって絵本の感じ方が違うと思うので、子どもも大人も、年齢にとらわれず、お気に入りの絵本に何度も触れて読んでいただきたいなと思います」

クレヨンハウス

読み聞かせのポイントはあるのでしょうか?

「子どもにとっておはなしの内容はもちろんですが、 “読んでもらった”体験を積み重ねることが大切なので、上手に読もうとか肩肘を張らずに、一緒にその時間を楽しむことが一番だと思います」

伝統工芸の絵本

お店でも、表紙を見て「この本、小さい頃に読んでた!」という、大人の方の声をよく聞くといいます。

「それは、誰かに“覚えておいてね”と言われたわけではなくて、大切な人に読んでもらって、小さな心が動いたからこそ、表紙を見ただけで記憶が蘇るんだと思います」

「どう思った?」などと答えを求めないことも大切。

「子どもの絵本の楽しみ方は、大人が考えるよりずっと自由だと思うんです。その子自身が何かしら感じているものがあると思うので、余韻を残してあげるといいですね。

どんなことが、その子の人生や心の糧になるかわからないので、長い目で見ていただけたらいいのかなと思います」

「子どもは絵本で体験したことと、自分の体験が重なりながら、心が育っていきます。感受性を耕すものの一つが絵本なのかなと思います」

クレヨンハウス

工芸のもつ温かみや、作る人の想いを感じることができる。

絵本を通して工芸に触れてみたら、また違った世界が広がっていきました。

みなさんも一冊、手に取ってみてはいかがでしょうか。

<紹介した絵本>
『せんねんまんねん』
『わにわにのおふろ』
『14ひきのこもりうた』
『ひまなこなべ』
『満月をまって』

<取材協力>
クレヨンハウス東京店
東京都港区北青山3-8-15
03-3406-6308(子どもの本売場直通)
営業時間:平日11:00~19:00 土・日・祝日10:30~19:00
定休日:年中無休 (年末年始を除く) 

文 : 坂田未希子
写真 : カワベミサキ
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