さんち 〜工芸と探訪〜

SUNCHI ~ Explore japan through regional crafts ~

このページの先頭へ

あなただけの
さんちの手帖に

会員登録を行うことでお気に入りの読み物に栞を挟むことが出来ます。記事に栞を挟んで自分だけの栞帖をつくってみませんか?
メールアドレス:(必須)
※ 「.@(@の前にドット)」、「..(ドット2つ)」を含むメールアドレスはご利用いただけません
メールアドレスは既に使われているか、正しい形式で入力してください
会員登録する
既にアカウントをお持ちの方は こちら

退会手続き

退会すると栞した読み物や産地の情報が完全に消去され復元することはできません。本当に退会しますか?
キャンセル
退会する

マンション住まいで蚊帳を吊る 電気を使わず夏を涼しくする方法

投稿日: 2017年7月21日
産地: 読みもの
編集:
  • LINE

こんにちは。さんち編集部の尾島可奈子です。
暑い日が続きますね。夜はちょっとでも涼しく、すやすや眠りたい。昔の人も同じでした。高温多湿の日本の夏にかつて欠かせなかった暮らしの道具が、蚊帳 (かや) です。「となりのトトロ」や「火垂るの墓」にも夏の情景として印象的に登場しますね。

広々とした和室で吊るイメージがありますが、洋室で吊るとどうなるのでしょう?

エアコンや扇風機の登場ですっかり見かけなくなりましたが、蚊帳は今も作られています。電気を使わずに夏の大敵・蚊を避けられるし、見た目にも涼しそうですよね。

吊ってみたい。吊った中でゴロンと寝転がってみたい。マンション住まいでも吊れるのかしら。

好奇心の赴くまま、実際に吊ってみました。エアコンも扇風機もある現代だからこそ、電気のいらない夏の道具、蚊帳の使い勝手を検証したいと思います。

蚊帳を吊ってみる前に

実際に吊ってみる前に、少し蚊帳という道具のことを紐解いてみました。

人が蚊帳を吊って寝ている姿は、鎌倉中期の絵巻物にすでに登場しているそうです。その頃は高貴な身分の人が使っていたと考えられ、広く庶民に普及したのは江戸に入ってから。

寝室の大きさに合わせてその家の女の人が縫い、1日で縫いあげないと縁起が悪いとされていました。大勢の女性たちで協力して無事縫いあげると、蚊帳の中でささやかな宴を開いて祝うなどの風習も、各地に残されているそうです。

大切な寝床を守るものなので、単なる道具以上の意味を持っていたようですね。終戦前まではどの家庭にもある、夏の必需品でした。

素材は絹や木綿製もあったそうですが、清涼感のある麻のものが一般的。今回吊ってみたものも、吸湿性が高いという本麻で織ったものです。大きさはちょうど6畳サイズ。布団2枚がおさまる大きさです。

マンションのお部屋で吊ってみました

今回撮影にご協力いただいた田中さん (仮名) のお家は、ご夫婦と2歳になるお子さんと3人でのマンション住まい。蚊帳を吊るお部屋のいつもの様子はこんな感じです。

蚊帳の天井部分に付ける四隅には輪っかがついています。これを和室では長押 (なげし・柱から柱へ渡す横木) や鴨居 (かもい・ふすまや障子など引き戸を滑らせるための横木) や柱に、金具や釘で引っ掛けて吊るします。

吊り金具のほか、右手前のような紐を用意しておくと、蚊帳と金具の間を調節できて便利です

今回のお部屋の場合は、天井のこうしたフックを活用。

吊ってみてわかったこと

吊るときの注意点は生地の裾をしっかり床につけること。蚊が入ってきては元も子もありませんからね。実際に吊ってみると‥‥

お部屋の雰囲気がガラリと変わりました!

やわらかく光と風が通ります。本と麦茶とうちわでも用意して、中のソファでいつまでもくつろいでしまいそうです。

蚊帳の中は格好の遊び場です

最近はこうして、蚊よけの夜具としてだけでなく、お部屋の雰囲気を変える道具として蚊帳を使うお家もあるそう。エアコンの風が直接当たるのも防げるので、お昼寝にも最適ですね。

ちなみにこの蚊帳は一面が左右に開けるようになっています。持ち上げてみるとなんともゴージャスな、天蓋付きのベッドのような雰囲気の空間になります。

空間が一気にゴージャスになります

蚊帳の間から覗くテラス。景色が少し変わります

設置時間は30分ほど。慣れるまでは吊る位置を決めたり四隅をバランスよく吊るまで、少し時間がかかるかもしれません。しかしきれいに吊れた後に現れる空間は格別です。

ちなみに昔は吊ったり畳んだりが大変だったことから、竹竿にあらかじめ吊り紐を通しておいたり、割った竹を半円状にして蚊帳を張り、すぐたためるようにしたりといろいろ工夫をしていたようです。

価格は今回のもので86,400円(税込)。はじめはなんと!とびっくりしましたが、内装をアレンジできる可動式の家具だと思えば、決して高い買い物ではないのかもしれません。そして昔の人はこれだけ大きな面積の布を自分で(しかも1日で!)縫っていたなんて、本当に大変だったろうなぁと頭が下がります。

我が家でも吊ってみました

実は、あまりにも部屋いっぱいすぎて写真に納められなかったのですが、我が家でもこっそりと吊ってみました。念願叶って中でゴロンと寝転がってみると、毎日見ていた部屋が全く違う表情を見せていました。天井の蛍光灯の光が和らぎ、音も遮断するのか、独特の静けさがあります。

四方を囲まれていても向こうが透けて見えるので、圧迫感がなく、むしろやわらかい布に守られているような安心感。どこか子どもの頃に作ったダンボールハウスや秘密基地の心地よさを思い出します。

そして心なしか涼しい。蚊帳は吊ることで空気の壁を作るので、内側におこる気化熱で体感温度を下げる効果があるのだそうです。



実際に吊ってみてわかった蚊帳のよさ、面白さ。「かつての必需品」にしておくのはもったいないように思いました。リモコンのスイッチをピッと押すよりは手間がかかりますが、誰かと一緒に吊るせば「もうちょっとそっち上!」なんて、吊るす過程もまた楽しい。

夏をもっと心地よく過ごしたくなったら、思い切って蚊帳の中に飛び込んでみるのも、いいかもしれません。

<掲載商品>
麻の蚊帳 (中川政七商店)

文:尾島可奈子
  • LINE

Follow us

全国の工芸・産地にまつわる読み物を毎日更新しています

さんち〜工芸と探訪〜の読み物は各種ソーシャルメディアでも配信中。 今すぐフォローして最新情報をチェックしよう!

関連の読み物

「さんち 〜工芸と探訪〜」がアプリ「さんちの手帖」として登場しました。記事を読むだけではなく、旅の栞や旅印帖として使える、あなたのおともになるアプリです。

  • App Storeからダウンロード
  • Google Playで手に入れよう

アプリの詳細を見る