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雪平鍋とは。和食づくりの相棒は、形と素材に魅力あり

投稿日: 2020年7月12日
産地: 読みもの
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定番の調理道具、雪平鍋。扱いやすさから、愛用者も多いのではないだろうか。

使いやすさの理由は、その形と材質にあり。この記事では、雪平鍋の使いやすさの秘密と歴史に迫る。

雪平鍋とは

 

雪平鍋とは底が丸く、胴が上に広がっている形状の鍋のこと。

使い道は幅広く、茹でる煮るはもちろん、炒める、蒸すといった多様な調理法に適している。正に、家庭に1つは欠かせない万能鍋といえる。

最大の特徴は、軽くて熱伝導率が良いことだ。水分が蒸発しやすく、急いで料理を作りたいときに最適である。

また、その形状により鍋の中の液体が上手い具合に対流を起こすことから、煮炊きが多い和食作りに向いている鍋といえる。

ここに注目。便利の秘密は「槌目」にあり

便利さの秘密は、槌目 (つちめ) と呼ばれる表面の凹凸にある。これは鍛金 (たんきん) と呼ばれる技法で、1つ1つ職人が金槌で叩いた跡だ。

叩く理由は2つある。1つは表面積が広がり熱伝導が良くなるため、もう1つは強度を上げるためだ。槌目が打たれた鍋は、40年経っても丈夫だという。

この槌目は職人によって大きく異なり、世界に1つとして同じ鍋はない。職人技が光る、一期一会の出会いを楽しみたい。

素材で選ぶ雪平鍋

雪平鍋には、主に銅・アルミ・ステンレスの3種類の素材が用いられる。それぞれの特徴について注目したい。

◯熱伝導率がもっとも良い「銅」

素材の旨味を引き出す銅製の鍋

素材の旨味を引き出す銅製の鍋

熱伝導率が良く、素材の旨味を引き出す銅製の鍋
https://www.wahei.co.jp/products/dancyu/7005.html

銅の最大の特徴は、熱伝導率の良さ。その他にも、殺菌効果・優れた耐食性などの特徴がある。

◯軽くて銅についで熱伝導率が良い「アルミ」

軽くて銅についで熱伝導率が良い「アルミ」

軽くて銅についで熱伝導率が良い「アルミ」

軽くて扱いやすく、丈夫なアルミ製の鍋

アルミは軽い・強い・熱伝導率が良いという好条件を兼ね備えた材質で、軽くて安価なことから広く普及した。柔らかいが、全体を打つと硬化する性質を持ち、加工しやすいことも量産を可能にした。

◯IH対応なら「ステンレス」

ステンレス素材は、錆びにくく、メンテナンスが容易である。IH対応用の雪平鍋を購入したい場合は、ステンレス製を選ぶと良い。

<関連の読みもの>
「炊事、洗濯、掃除、工芸。「姫野作の雪平鍋」
https://sunchi.jp/sunchilist/yao/11994

アルミ鍋の選び方

簡単に手に入りやすいアルミ鍋。しかしサイズなど選び方にもコツがある。詳しい選び方については、こちらの記事を参考にすると分かりやすい。

「アルミの雪平鍋」が和食に最適な理由。上手に選べば長年使える相棒に
https://sunchi.jp/sunchilist/craft/95379

アルミの雪平鍋

アルミの雪平鍋

職人に教わるアルミ鍋の使い方・洗い方

長年愛用している雪平

長年愛用している雪平

長年愛用している雪平鍋。柄が緩み、くすんでしまった

せっかく手に入れたら、長く大切に使いたい。
しかし長年使っていると、その人の使い方のクセを映して、表面にもくすみやちょっとした不具合が出てくるもの。

10年愛用している雪平鍋を購入した工房でメンテナンスしてもらったこちらの記事では、職人さんから直接、使い方や洗い方のコツを伺えることに。日常のお手入れの参考にどうぞ。

「京都の鍛金工房WESTSIDE33で『行平鍋』をメンテナンス。10年使った愛用品がプロの手で蘇る」
https://sunchi.jp/sunchilist/kyoto/74713

雪平鍋の豆知識

雪平鍋

雪平鍋

手軽に使用することができ、普段使いしやすいアルミ製の雪平鍋

雪平鍋はもともとは主に粥を炊くのに使用した土鍋の一種であり、はじまりは金属製ではなかった。

雪平 (行平) という名の由来には、大きく2つの説がある。

1つは、人名説だ。

平安歌人である在原行平が、海女に潮を汲ませて塩を焼いた器に因んだものといわれる。

もう1つは、調理や鍋の様子を雪に見立てたもの。

「粥をたくと米が雪のように舞うから」「槌目の模様が雪みたいだから」といった説である。

これらの説により、雪平と行平の両方の表記が使われているのだ。

雪平鍋の歴史

雪平鍋はもともとは土鍋であったことは先ほど触れただが、鍋自体はおよそ2万年前から存在し、人々は食材の調理に鍋 (土鍋) を使用していたとされる。

人々が食材を茹で始めたのは縄文時代で、縄文人は木ノ実のアク抜きに土器を使用していた。

金属製の鍋が登場したのは紀元前2000年ごろになってからで、日本では土製の鍋を「堝」、鉄製のものを「鍋」と書き分けていたことが分かっている。

現代で使用されているような、鉄を型に流し込んで作られる鉄鍋が出現するのは平安時代で、当時は「かななべ」と呼ばれていた。この時代に生きた在原行平(ありわらのゆきひら)の故事が雪平鍋の語源とも言われる。

その後、鉄鍋は鎌倉時代以降広く浸透し、農民にまで広がっていった。裏腹に陶製の「土堝」は需要を落とすが、この系統を受け継いだ一つが、江戸時代に作られるようになったといわれる雪平鍋だという。

もともと主に粥を炊くのに使う陶製の土鍋であった行平鍋が、現在のように大きく広まった背景には、伊賀焼の存在がある。

伊賀焼の土鍋

雪平鍋が広まるきっかけとなった、伊賀焼の土鍋

伊賀焼は三重県伊賀市を中心とした地域で作られている、非常に耐火度が高いことで知られる焼き物だ。

特に土鍋の生産で有名で、その耐火度の高さと蓄熱可能な性質から、食材への熱の伝わり方が良く、調理に大変適した鍋といわれている。

江戸中期から工芸品として需要が増え、その後明治、大正、昭和と耐火性や粘性を活かした土鍋や行平鍋が多く生産された。

そして昭和に入って日本にアルミニウムが伝わると、今度は土鍋に変わってアルミ製の鍋が普及し始めた。

アルミニウムの行平鍋が広まったのは昭和20年代中頃のことで、軽くて値段が安く、扱いやすいアルミ鍋は日本国中に瞬く間に普及していった。

その後、第二次世界大戦で金属の生産が止まってしまうと、代用品として伊賀の土鍋や行平鍋の需要が急増した時期もあったという。

現代でも土鍋の代表格として愛される伊賀焼。

一方、行平鍋は手軽で一般家庭でも手に入りやすいアルミ製のものに姿を変えて、多くの人々に愛用されるようになったのである。

<関連の読みもの>
土鍋にはなぜ伊賀焼がおすすめなのか。その特徴と歴史を知る https://sunchi.jp/sunchilist/iga/108560

ここで買えます、見学できます

・鍛金工房 WESTSIDE33
京都七条にある鍛金工房。オリジナルの調理器具や器、テーブルウエアなどを販売している人気店だ。

京都市東山区大和大路通七条下ル七軒町578
075−561−5294

・匠屋 (姫野作の雪平鍋)
アルミ・銅製の雪平鍋を製造・販売している。
鍋に刻印された「姫野作」の文字が品質の証。
http://www.takumiya.net/nabe.html

・和平フレイズ
銅製の雪平鍋を製造・販売している。
サイズは18センチメートルで、毎日の料理に使いやすい嬉しい大きさ。
https://www.wahei.co.jp/

関連する工芸品

伊賀焼:「土鍋にはなぜ伊賀焼がおすすめなのか。その特徴と歴史を知る」
https://sunchi.jp/sunchilist/iga/108560

<参考>
・中林啓治 著、工藤 員功 編、岩井宏實 監修 『絵引 民具の辞典』河出書房新社 (2017)
・一般社団法人 日本銅センター
http://www.jcda.or.jp/feature/tabid/83/Default.aspx
・匠屋
https://takumiya-xsrvjp.ssl-xserver.jp/shop/
・日本アルミニウム協会
https://www.aluminum.or.jp/basic/aluminumtoha/fset1.html
・和平フレイズ株式会社
https://www.wahei.co.jp/products/dancyu/7005.html

(以上サイトアクセス日 2020年7月12日))

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