さんち 〜工芸と探訪〜

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フィリップ・ワイズベッカーの郷土玩具十二支めぐり

フィリップ・ワイズベッカーが旅する 唯一の職人がつくる「赤坂人形の戌」を求めて

投稿日: 2018年9月14日
産地: 筑後
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日本全国の郷土玩具のつくり手を、フランス人アーティスト、フィリップ・ワイズベッカーがめぐる連載「フィリップ・ワイズベッカーの郷土玩具十二支めぐり」。

連載11回目は戌年にちなんで「赤坂人形の戌」を求め、福岡県筑後市の赤坂飴本舗を訪ねました。それでは早速、ワイズベッカーさんのエッセイを、どうぞ。

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福岡県筑後市の赤坂飴本舗

福岡市の郊外、戌の笛人形をつくる野口さんのところに着いた。

福岡県筑後市の赤坂飴本舗

まだまだ驚きが待っているにちがいない。 自分の駐車場が制作の場となる。私たちを待っていてくれたのだ。

さて舞台はととのった。もうすぐスペクタクルが始まる。

福岡県筑後市の赤坂飴本舗

クッションに腰かけ素朴な道具に囲まれている後ろ姿は、まるでモロッコのスーク(市場)での光景のようだ。

福岡県筑後市の赤坂飴本舗

前から見ても、やっぱりそうだ。

ダンボール紙の上につつましく構えた彼の前には、粘りがあっていい感じの土の塊がある。 いい時間が過ごせそうだ。

福岡県筑後市の赤坂飴本舗

道具自らが語る。イメージ通りなのだ。 意表をつき、親しみやすく、感じがいい。

福岡県筑後市の赤坂飴本舗

彼の脇には、記憶に満たされた木箱がある。 野口さんの父親から引き継いだ型たちが、休息している。

それらの一つでも壊れたら、残念ながらひとつの人形の死になってしまう。 この小さなイヌの順番も、いつか訪れるだろう。

手遅れになる前に、急がねば!

福岡県筑後市の赤坂飴本舗

ちょうど、型から出たばかり。 余分な端がまだ残っているが、きれいに整えてもらう時を待っている。

福岡県筑後市の赤坂飴本舗

これで作業は終了。一度に5個しかつくることができない。 何度も抜いて型が湿ってしまうと、土を外せなくなるからだ。

福岡県筑後市の赤坂飴本舗

この制作リズムでは、家業として生活費を稼ぐには程遠い。 だから、同じく父親から受け継いだ機械で、飴をつくっている。

福岡県筑後市の赤坂飴本舗

100メートル先の販売店では、飴も玩具も同じガラス棚に一緒に並んでいる。

福岡県筑後市の赤坂飴本舗

野口さんは、私の「イヌの笛」を出してくれる。 私が想像していた通りのものだった。

のんびりして、陽気で、まだらのイヌ。大好きだ。

福岡県筑後市の赤坂飴本舗

お店を出る時、写真を撮らずにはいられなかった‥‥面白い!

──

文・デッサン:フィリップ・ワイズベッカー
写真:フィリップ・ワイズベッカー
翻訳:貴田奈津子


Philippe WEISBECKER (フィリップ・ワイズベッカー)
1942年生まれ。パリとバルセロナを拠点にするアーティスト。JR東日本、とらやなどの日本の広告や書籍の挿画も数多く手がける。2016年には、中川政七商店の「motta」コラボハンカチで奈良モチーフのデッサンを手がけた。作品集に『HAND TOOLS』ほか多数。
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