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津軽びいどろの豆皿

「津軽びいどろ」とは。100通りの色彩が魅せる青森のガラス工芸

投稿日: 2020年4月7日
産地: 青森
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一握りの砂から生まれた青森の伝統工芸品「津軽びいどろ」。

今日では100種類もの色彩があり、グラスや花瓶など様々なプロダクトが生産されています。日本人ならきっと欲しくなる「液だれしない醤油差し」も津軽びいどろから生まれました。

今日は美しさと実用性をかね備える津軽びいどろの歴史、特徴や豆知識についてご紹介しましょう。

津軽びいどろとは。本州最北端のガラス工房が手がける伝統工芸品

「津軽びいどろ」とは、青森県青森市のガラス工場「北洋硝子」で生産されるガラス工芸品。「びいどろ」とはポルトガル語の「vidro(ヴィードロ)」で「ガラス」の意味。グラス、皿、箸置き、花瓶など様々なプロダクトを、職人一人ひとりの熟練のワザによってハンドメイドで製作されている。

落ち着いた緑の「七里長浜(しちりながはま)」、深みのある青の「瑠璃(るり)」、涼やかな青の「藍鼠(あいねずみ)」など100色以上の多彩なバリエーションがあり、その美しさから日本のみならず、海外にもファンを持つ。

津軽びいどろの豆皿

左から、七里長浜、瑠璃、藍鼠の津軽びいどろの豆皿

ここに注目 「津軽びいどろ」の始まりは漁業用の浮玉から

青森県青森市富田は津軽半島の西部に位置しており、古くから漁業が盛んな地域。北洋硝子はもともと漁業用の「浮玉(漁船の仮留、定置網の設置に用いられる浮き輪の一種)」を製作していたガラス工場で、現在の津軽びいどろの多彩な表現は、これまでの浮玉づくりで培われてきた技術が出発点となっている。

津軽びいどろの作り手は、本州最北端のガラス工場「北洋硝子」



青森県青森市富田。この地に伝統工芸品「津軽びいどろ」の生みの親にして唯一の生産元、「北洋硝子」のガラス工場がある。

北洋硝子の工場内

北洋硝子の工場内

海に近く、1949年の創業当初は一帯に漁業用の浮玉を作るガラス工場が複数存在していた。しかし、北洋硝子製は他の製品と比較して厚みが均等で水圧にも強く丈夫だと全国から注文が入るようになり、1973年には業界トップシェアに上り詰める。

その後、浮玉はガラス素材から樹脂やプラスチックに時代が移り、北洋硝子も浮玉の代わりに食器や花瓶の生産を始める。その過程で始めたある取り組みが、津軽びいどろ誕生の契機になった。

津軽びいどろの誕生秘話


津軽びいどろが誕生したきっかけは、ほんの偶然のできごとであった。時代の流れとともに浮玉から食器や花瓶の生産に移行していた北洋硝子は、当初、東京や大阪などガラスの主要産地から色ガラスを取り寄せていた。しかし、それでは手間がかかるとして、職人らで試行錯誤を重ねながら色ガラスの開発に取り組むようになる。

そんなある日、1人の職人が美景で知られる砂浜「七里長浜」を散歩していたところ、ふと足元の砂に目がいき、これを使ってガラスが作れないか、と考えた。試しに七里長浜の砂を加えてみたところ、ガラスは見事に透き通った深みのある緑色になる。これこそのちに青森県から伝統工芸品に指定される「津軽びいどろ」誕生の瞬間であった。

七里長浜の砂を配合した原料

七里長浜の砂を配合した原料

現在の津軽びいどろ

○THE 醤油差し

醤油差しを使った際に、液だれしてテーブルクロスや服を汚してしまう。日本人であれば誰しも1度は経験したことがあるのではないだろうか。

そんな日本人共通の悩みを解決してくれるプロダクトがある。プロダクトブランド「THE」がプロデュースし、北洋硝子が製作を手がけた「THE 醤油差し」だ。「世界一美しく、液だれもしない」をコンセプトに製作された醤油差しである。

北洋硝子ではこれまでにも液だれしない醤油差しは生産してきたが、「THE 醤油差し」では従来品と比べて注ぎ口のくちばし(先の部分)をなくしたデザインに。素材には透明度の高い「クリスタルガラス」が採用された。

「THE」のアイディアと「北洋硝子」の技術力が結集したこの醤油差しは、気持ちがいいほど液だれしない、と話題になり大ヒットとなっている。

THE 醤油差し

THE 醤油差し

商品詳細はこちら:「THE 醤油差し」

<関連の読み物>
醤油差しの新定番。「液だれしない」秘密は青森のガラス工房にあり

○津軽びいどろの豆皿

中川政七商店とのコラボで生まれた豆皿

中川政七商店とのコラボで生まれた豆皿

津軽びいどろを生産してきた北洋硝子と、各地の工芸品を扱っている中川政七商店のコラボ商品「津軽びいどろの豆皿」。ガラスの種を落とした型を高速回転させ、その遠心力で成形される「スピン成形」という技法でつくられ、形に微妙な揺らぎができる。

津軽びいどろのルーツの「七里長浜の砂」から生まれた美しい緑の七里長浜、深みのある瑠璃、涼やかな藍鼠の3色のラインナップで、食卓を涼しげに演出してくれる。

商品詳細はこちら:津軽びいどろの豆皿

<関連の読み物>
【職人さんに聞きました】夏の食卓におすすめの「津軽びいどろの豆皿」は、夏の短い青森生まれ。

ここで買えます、見学できます


○北洋硝子株式会社 直営店

津軽びいどろの生みの親にして、日本で唯一の生産元。青森県青森市富田のガラス工場に隣接して、直営ショップが設けられている。店舗ではグラス、うつわ、箸置き、花瓶など北洋硝子が生産している様々な津軽びいどろのプロダクトを販売。また、予約すれば津軽びいどろの製作現場を見学できる(要予約)。

北洋硝子株式会社(直営ショップ)
青森県青森市富田4-29-13

○中川政七商店

津軽びいどろの豆皿(中川政七商店)
THE 醤油差し

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琉球ガラス

津軽びいどろのおさらい


○作り手と概歴

・北洋硝子(津軽びいどろの生みの親にして、唯一の生産元)
・製品の誕生:1977年ごろ
・伝統的工芸品指定:「津軽びいどろ」で青森県から伝統工芸品に指定されている

○津軽びいどろの素材・道具

・主な色彩

津軽びいどろでは、無色透明のガラスの種に金属や鉱物を加えることで、100種類以上の多彩な色ガラスが表現される。「七里長浜の砂」を加えてできた深みのある緑色の七里長浜(現在は七里長浜の砂は使われていない)を始め、瑠璃・藍鼠。また、「12色のグラス」という製品では桜・珊瑚・紅・山吹(やまぶき)・菜の花・萌黄(もえぎ)・翡翠(ひすい)・露草・紺青(こんじょう)・藤・白練・黒などがある。

こうした色々は、原料の段階ではまだ何色になるのかはっきりとはしない。高炉のなかで溶け合わされた原料が、冷え固まったところでようやく本当の色が現れるためだ。そこで、新しく色を作るときには職人が発色を予測しながら原料を調合している。現在、津軽びいどろにこれほど色のバリエーションがあるのは、職人がひとつずつ原料の配合を調節し、試行錯誤を繰り返してきた努力の賜物と言える。

・主な技法

津軽びいどろには、色彩と同様にいくつかの技法が存在している。溶けたガラスに吹き竿で空気を送り込み、空中で形をつくる「宙吹き」。型にガラスを入れ、吹き竿で空気を送って形にする「型吹き」。ガラスを落とした型を、高速回転させて遠心力で形をつくる「スピン成形」。ガラスを吹き竿に巻き取り、色ガラスや金箔を重ねて飾りをつける「オーナメント(飾り小物)成形」などがある。

<参考>
津軽びいどろ
https://tsugaruvidro.jp/item/pickup/pickup008.html
日本伝統文化振興機構 津軽びいどろ
http://www.jtco.or.jp/japanese-crafts/?act=detail&id=322&p=2&c=15
朝日新聞 北洋硝子株式会社
https://www.oshihaku.jp/facility/00000462
(以上サイトアクセス日:2020年3月21日)

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