さんち 〜工芸と探訪〜

SUNCHI ~ Explore japan through regional crafts ~

このページの先頭へ

あなただけの
さんちの手帖に

会員登録を行うことでお気に入りの読み物に栞を挟むことが出来ます。記事に栞を挟んで自分だけの栞帖をつくってみませんか?
メールアドレス:(必須)
※ 「.@(@の前にドット)」、「..(ドット2つ)」を含むメールアドレスはご利用いただけません
メールアドレスは既に使われているか、正しい形式で入力してください
会員登録する
既にアカウントをお持ちの方は こちら

退会手続き

退会すると栞した読み物や産地の情報が完全に消去され復元することはできません。本当に退会しますか?
キャンセル
退会する

青森発「BUNACO」の木工ランプが世界的ホテルやレストランに選ばれる理由

投稿日: 2019年6月28日
産地: 青森
編集:
  • LINE

みなさん、青森県で生まれた「BUNACO (ブナコ) 」という木工品をご存知ですか?

青森県が蓄積量日本一を誇るブナの木を有効活用しようと考えられた製法で、その技術を用いて作られたボウルやティッシュボックスなどはグッドデザイン賞を度々受賞しています。

BUNACO
BUNACO

カラーバリエーションを含め400種類ほどあるBUNACOの中でも、現在、主力アイテムとなるのが照明器具。

青森県立美術館 割れや歪みが少なく、従来の木工品と比較して造形の自由度が高いのも特長。ランプシェードも様々な形があります

先日取材した青森県立美術館の企画展で展示されていたBUNACOのランプ

誰もが知る外資系ホテルの客室やJR東日本の豪華列車「TRAIN SUITE 四季島」のラウンジなどでも採用され、世界的にも注目を集めています。

そんな国内外を問わず多くの人を惹きつけるBUNACOの魅力を探りに、青森県西目屋村にある工場を訪ねてみました。

ブナコ西目屋工場
*BUNACOの西目屋工場見学の様子をレポートした記事はこちら:まるで手品!見学者が絶えない「型破りな木工」の現場で目にしたもの

他にはない、斬新な製造方法

BUNACOの製造方法はとてもユニークです。

ブナの原木をかつらむきをするように約1ミリの薄い板に切り出し、テープ状にカット。

ブナコ

ブナの原木をかつらむきのように厚さ約1ミリの板にスライスしてテープ状に。表面の点々は水脈なのだそう

それを土台となる合板に巻きつけ、重なり合うブナのテープを少しずつ押し出して成型していきます。

BUNACO

BUNACOの名前は、その原型が“Bunacoil” (ブナをコイル状に巻きつけたもの) であることに由来するのだそう

ブナコ西目屋工場

なんと成形には湯呑みが使われていました

こんな斬新なアイデアはどこから生まれたのでしょうか。

「BUNACOのそもそもの始まりは、青森の貴重な自然資源・ブナの木を有効利用したいという思いからでした」

そう教えてくれたのは、ブナコ株式会社の広報担当、秋田谷恵 (あきたや・めぐみ) さん。

ブナコ株式会社の広報担当、秋田谷恵さん

ブナコ株式会社の広報担当、秋田谷恵さん

「日本では木は建材として使われることが多いのですが、ブナの木は水分量が多いため、『狂う』んです。伸びたり、縮んだりしてしまうんですね。そのため、長い間、この辺りではりんご箱や薪としてしか使われていませんでした」

そこで、1956年から青森工業試験場 (現在の県工業総合研究センター) でブナを有効利用するための技術開発がスタート。試行錯誤の末、現在のBUNACOの技術が生まれたといいます。

テープという形が叶えたデザインとものづくりの自由

木工品といえば、主にくり抜いたり削ったりして作るもの。材料の中でも必ず使わない部分が出てきてしまいます。

ところが、テープ状にしたブナが材料であるBUNACOには捨てる部分がありません。他の木工品に比べて、材料が約10分の1で済むといいます。

ブナコ西目屋工場

テープを外せばこんな状態に。何度でもやり直しができます

さらに、機械や型を使っているわけではないので、これまでにない自由な造形が可能に。試作もスピーディーに色々な形を試すことができるのだそうです。

BUNACO

パーツを組み合わせれば複雑な形も可能

そんなところから、デザイナーさんや施工業者からの人気も高く、BUNACOの商品アイデアの多くは、「外から」もたらされてきたといいます。

活躍の場は食卓から空間へ

当初は、お皿やボウルなどのテーブルウェアだけを手がけていたブナコ株式会社。

「こんなランプができませんか?」

今となってはBUNACOを代表する製品となったランプシェードも、そんな一言から始まったのだそう。

依頼されたデザインが複雑な形であったこともあり、はじめのうちは職人さんも難色を示したといいます。

それでも、「これまでに作ってきたものを活かせばできるかもしれない」と、倉田昌直社長自らが手を動かすうちに、職人さんたちも手伝ってくれるように。

そうして生まれたのが、器を二つ向き合わせにした形のこちらのランプシェードです。

BUNACO

現在は閉店してしまいましたが、東京・六本木ヒルズにあった「TORAYA CAFE」で使われていました

光が赤く透けるというブナの木の特性も相まって、従来にないやわらかな明かりのランプシェードは、一躍人気商品に。

ランプシェードは今やBUNACOを代表するプロダクト。赤い透過光はブナならではなのだとか

ランプシェードは今やBUNACOを代表するプロダクト。赤い透過光はブナならではなのだとか

2002年からランプシェードの開発に取り組み、翌年には販売を開始。最初に難しい形のものができたこともあり、デザインのバリエーションも増えていきました。

BUNACO

「このスピーカーのアイデアも、弘前大の先生が持ち込んできてくれたものなんですよ」と秋田谷さん。

BUNACO

テープが重なり合うというBUNACOならではの構造を活かし、残響音を吸収するつくりにしたスピーカー

「商品アイデアは、お客様の声や街中のデザインなどから見つけることが多いです。

BUNACOなら、どういうものが作れるかという視点でいつも考えていますね」

目指すのは「空間の名脇役」

うつわに始まり、ランプシェードやスピーカーなどのインテリアまで広がりを見せるBUNACOのものづくり。

「今後も照明とスピーカーには力を入れていく予定です。

忙しい日々を過ごす人たちに、BUNACOで光と音でくつろげる空間を提案していきたいと思っています。

目指すは空間の名脇役、ですね」

ブナコ西目屋工場

デザインオフィスnendoとのコラボスピーカーも

BUNACO

ユニークな技術が可能にした自由な造形。そこからまだ見ぬ新たな製品が今後も生まれてきそうです。

BUNACOのものづくりはまだまだ続きます。

<取材協力>
BUNACO
http://www.bunaco.co.jp/

文:岩本恵美
写真:船橋陽馬
  • LINE

Follow us

全国の工芸・産地にまつわる読み物を毎日更新しています

さんち〜工芸と探訪〜の読み物は各種ソーシャルメディアでも配信中。 今すぐフォローして最新情報をチェックしよう!

関連の読み物

「さんち 〜工芸と探訪〜」がアプリ「さんちの手帖」として登場しました。記事を読むだけではなく、旅の栞や旅印帖として使える、あなたのおともになるアプリです。

  • App Storeからダウンロード
  • Google Playで手に入れよう

アプリの詳細を見る